トップ > 特集 > 関西発 > 軌跡 > 記事

関西発

フォローする

11月6日の電子版のリニューアルに伴い、特集「関西発」は「地域」セクションに移りました。「関西発」のコンテンツは「地域」セクションの「関西」でご覧頂けます。

関西劇作家 憧れの登竜門 熱いぞ小劇場演劇(1)
軌跡

2014/12/23付
保存
共有
印刷
その他

大阪市中央区の大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)に16日夜、関西の演劇人が集まった。この日は関西を拠点にする劇作家の作品を対象にした第21回OMS戯曲賞(大阪ガス主催)の授賞式。松田正隆、土田英生らはこの賞を得て自信を深め、全国に活躍の舞台を広げた。関西の中堅・若手劇作家にとって憧れの賞だ。

第21回OMS戯曲賞大賞を受賞した土橋(左)と佳作の田中(大阪市中央区)

第21回OMS戯曲賞大賞を受賞した土橋(左)と佳作の田中(大阪市中央区)

毎年、公募作品から大賞と佳作を選ぶ。今年は応募50作品から大賞に土橋淳志の「或(ある)いは魂の止まり木」、佳作に田中遊の「夜の素」が選ばれた。

1994年創設。小劇場演劇がブームになった時代、大阪市北区にできた複合文化施設「扇町ミュージアムスクエア(OMS)」(2003年に閉館)の開館10周年を記念して設けられた。第1回の大賞は松田、翌年の第2回は鈴江俊郎が受賞。2人は96年に「演劇界の芥川賞」と称される第40回岸田國士戯曲賞を同時受賞し、OMS戯曲賞の名が一躍高まった。編集者の小堀純は「2人の受賞で、岸田賞は選考で地方の劇作家に一層、目を向けるようになった」と指摘する。

98年には、今年亡くなった深津篤史が第42回岸田賞を受賞しながら、同じ作品でOMS戯曲賞を逃す。演劇関係者の間では「深津作品を上回る戯曲が関西で書かれているのか」と話題を集めた。OMS戯曲賞の大賞を受賞した内藤裕敬が後に読売演劇大賞優秀演出家賞、土田が文化庁芸術祭優秀賞を獲得するなど、関西の劇作家・演出家の飛躍を促す一助になっている。

OMS戯曲賞の特徴は書かれただけではダメで、既に上演された戯曲に限定していること。授賞式で選考委員の生田萬、渡辺えりら劇作家・演出家の選評が聞けることだ。選評は今回も戯曲のタイトルに注文が付くなど辛口。土橋は「こんなに熱く議論していただけて幸せ」と言い、公開選評が応募動機にもなっている。

過去にはマキノノゾミが初回から3回連続で最終候補作品にとどまり、厳しい講評を受けた。それが、後に鶴屋南北戯曲賞などをとるバネになった、とみる演劇関係者は多い。関西の劇作家にとって毎年、目標になるOMS戯曲賞があることは、創作活動のモチベーションになっている。

大阪ガスは12年、弟分の賞「ハイスクールOMS戯曲賞」を設けた。近畿2府4県の高校生の作品を対象とし、前年のOMS戯曲賞をとった作家が選考委員に就く。事務局を務める同社の江本雅朗・近畿圏部社会貢献推進室室長は、「受賞が励みになって、高校生が卒業後も演劇を続ける連関を生み出せれば」と話す。

11年、大阪・難波の精華小劇場が閉鎖し、大阪から公立専用劇場が無くなった。関西小劇場演劇界を取り巻く環境の厳しさも指摘されている。だが、そんな中でも、将来を嘱望される劇作家は続々と生まれ続ける。

編集委員 小橋弘之が担当します。

関西発をMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

電子版トップ特集トップ