「ヒョウ柄おばちゃん」絶滅危惧種?(とことんサーチ)
数減ったけど元気やで

2015/12/26 6:00
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大阪には派手なヒョウ柄の服を着たおばちゃんが多いという話をよく聞く。しかし、記者は一度も見たことがない。ヒョウ柄のおばちゃんは本当にいるのか。1人では心細いので同期記者の手を借り、キタやミナミの商店街を探してみた。

ヒョウ柄好きが高じて店を刷新した「なにわ小町」の高橋店長(大阪市浪速区)

ヒョウ柄好きが高じて店を刷新した「なにわ小町」の高橋店長(大阪市浪速区)

まず衣料店や飲食店がひしめく船場センタービル(大阪市中央区)へ。3号館の衣料店「ラ・カヴール」にヒョウ柄のTシャツやコートを見つけた。販売員の柿本千里さん(26)に聞くと、「病院での診察日とか、友達とカラオケに行くときに着る人がほとんど。普段着としてはあまり見ない」という話だ。

4号館の「Layla(レイラ)」の店長の北嵐秀彦さん(55)も「1970年にビルが開業したころは流行したが、ピークは終わっている」と語る。大阪育ちの同期記者(24)は「小学生のころはヒョウ柄の先生がいたんやけどな」と首をひねる。

衣料店などで聞くと、アニマル柄が広く人気を集めたのは20~30年前ごろ。創業44年の婦人服メーカー、伊太利屋(東京・渋谷)などの高額品が人気を集め、格安な中国品などを楽しむ人も増えた。

アニマル柄はもともとミラノコレクションでも紹介されるほど世界的に評価を得ていた。東京でも着る人は当時増えたようだが、派手に着こなした大阪の女性がテレビなどで度々紹介されて「大阪=ヒョウ柄」のイメージが定着した。最近はそうしたレッテルを嫌がる人が多いようだ。

ではヒョウ柄は「絶滅」寸前なのか。実態を調べるため、人出の多い正午を狙って天神橋筋商店街を歩いた。

3往復してあきらめかけたところ、ある衣料店から「ヒョウ柄おいてへんの?」との声。いたいた、黒い斑点の入ったシャツを着た女性(62)が。「地元で売ってへんから買いに来てんねん」と茨木市から訪れたという。「着ると強くなれる気がする。みんな着ればいいと思うで」。性格を豹変(ひょうへん)させる魅力もあるのかと感心しつつ、同期とミナミに向かう。

ヒョウ、トラ、シマウマ……。通天閣に近い婦人服・雑貨店「なにわ小町」には派手な柄が並ぶ。トラの顔をあしらったリュックサックも。店長の高橋真由美さん(64)は「着るといつもと違う自分になれる気がするやん」。

高橋さんによると最初はふんどしと浴衣を扱っていたが、5年ほど前から店を一新し、アニマル柄も扱うようになった。ヒョウ柄で訪れた尼崎市在住の60歳女性は「着ると元気出るやろ」と満足げだ。支持層が減ったとはいえ、大阪だけでなく近隣でもなお根強い人気があるようだ。

「最近は大学生などの若者に人気が高い。ど派手なのよりかばんやアクセサリーにワンポイントで取り入れる人が増えている」。洋服のデザインなどを手掛けるオーバーデザイン(大阪市)の高橋輝明代表は解説する。

試しに大学生が多い天王寺周辺を歩くと、タンクトップに取り入れた近畿大学の庄司昌子さん(23)に出会う。「おばあちゃんのを見ていつか自分も着たいと思っていた」。ズボンに取り入れている大阪体育大学の女子大生(21)は「アニマル柄の靴や小物を持つ友人がいる」。アニマル柄とほかの模様を組み合わせた服のほか、草食系のキリン柄が人気との声も聞いた。

過剰に周りの目を気にせず好きな服や小物を自由に楽しむ。そんな気質は祖母から母、娘へと伝わり、柄物ファッションは多彩に進化し残っていると感じた。私も忘年会用に1着買ってみようかな。

(大阪経済部 野岡香里那、加藤彰介)

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