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名作「京舞」で徹底取材 祇園と文学(3)
軌跡

2017/8/23 17:00
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戦後の演劇界で「天皇」と称された劇作家の北條秀司も、祇園になじんだ一人だ。彼の随筆を読むと、芸妓(げいこ)と舞妓の学校「女紅場」に、「にょうこば」と地元言葉でルビをふるほどこだわっている。

北條が書き下ろし、1960年に「劇団新派」が初演した名作「京舞」は、京舞井上流家元の三世と四世井上八千代の師弟関係をモデルにした芸道物語。同流の家元は女紅場で祇園甲部の芸舞妓に舞の手ほどきしているが、この模様も劇中で描かれている。

北條は同作執筆のきっかけに「師走に、家元宅に向かう芸舞妓の長蛇の列に出くわし、いいなあと見ほれた」ことを挙げる。その日は正月の用意を始める「事始め」。師匠宅やお世話になっている人にあいさつに行く日で、いまも京都にこの風習が残っている。

執筆を決めると、祇園の関係者に話を聴いて回った。その人たちは異口同音に「うちが喋(しゃべ)ったと言うとくりゃはんなや」と念を押したといい、それが「京舞の神秘性を語っているようで面白かった」と振り返っている。

同作の上演にあたり、北條は四世家元と夫の能楽師、片山博通にあいさつをしている。劇中に「猩々(しょうじょう)」などを舞う場面があることから、四世家元らに出演者への舞の指導も依頼した。

初演の配役は三世八千代を花柳章太郎、四世八千代を初代水谷八重子。舞台は評判を呼び、花柳の三世八千代は当たり役とされた。博通は舞台化された後、新聞に「よくまあこれだけ自家のことを調べたものだ」と記した。四世八千代は「お芝居となって目の前で展開されるのですから、そのむずがゆさ、面映(おもは)ゆさといったらありません」と芸話で振り返っている。

(敬称略)

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