各楽団、独自色で競演 まだまだ聴ける「第九」演奏会

2015/12/20 6:00
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2015年も残すところ2週間足らず。年の瀬の風物詩として定着したベートーベン「第九」演奏会のシーズンまっただ中だ。各楽団がこぞって響かせる歓喜の歌「交響曲第9番」。関西でこれからも続々予定されている公演の聴きどころを紹介する。

佐渡裕が兵庫芸術文化センター管弦楽団を指揮した(11日、県立芸術文化センター)=写真 飯島 隆

佐渡裕が兵庫芸術文化センター管弦楽団を指揮した(11日、県立芸術文化センター)=写真 飯島 隆

11日、兵庫県立芸術文化センター(西宮市)。芸術監督の佐渡裕が舞台に現れると、割れんばかりの喝采に包まれた。演奏は佐渡が手塩にかけた兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)。佐渡は頻繁に第九のタクトを振っているイメージがある。しかし、同センターでの指揮は2005年の開館記念コンサート以来、10年ぶりとなった。

「自分の劇場で第九を振るのは特別な時だけなので封印していた。10周年の節目となる第九に気合が入る」と明かす佐渡。今後、PACを率いて、23日の和歌山県民文化会館(和歌山市)、25日の神戸国際会館こくさいホール(神戸市)など5会場での第九演奏を残している。「10年でこれだけ成長したことを披露したい」と力を込める。

年末の第九は日本特有の現象だが、クラシックファンでなくともこれだけは聴きに来るという観客が多い。各楽団はこぞって演奏会を開いており、同じ第九でも特色を打ち出そうという動きも見られる。

普段はバロック音楽を得意にする日本テレマン協会は19日、ザ・シンフォニーホール(大阪市北区)で「第九deクリスマス」を開く。指揮は同協会の音楽監督を務める延原武春。第九の演奏の後、フランスの作曲家アダンが書いたクリスマスソングの人気曲「オー・ホーリー・ナイト」や、クリスマス・キャロルを聴かせる。「クリスマスならではの雰囲気を色濃く出したい」と延原は話す。

大阪フィルハーモニー交響楽団は29、30日、フェスティバルホール(同)で「第9シンフォニーの夕べ」を開く。首席指揮者の井上道義がタクトを振り、小林沙羅(ソプラノ)、小川明子(アルト)、福井敬(テノール)、青山貴(バリトン)と、日本を代表する歌い手を集めたのが注目される。

井上は第九について「演奏を間違えると、陳腐になってしまう怖さがある」。過去の形式を否定し続けたベートーベンが生涯で1度だけ、メッセージが分かりやすく、誰もが口ずさめる旋律として書いたのが第九とされる。井上は「『おお友よ、このような音でなく』とお客さんに思われないようにね」とおどけつつ、気を引き締める。

大フィルは20日にもシンフォニーホールで「炎のマエストロ」と呼ばれる小林研一郎指揮で第九を演奏。同ホールは26日から3日連続で第九のプログラムを組んだ。26日はドイツに拠点を置く上岡敏之が東京の読売日本交響楽団を指揮する。27日は恒例の演奏会「21世紀の第九」を佐渡から引き継いだ若手ケン・シェが指揮する日本センチュリー交響楽団。28日は川瀬賢太郎指揮の大阪交響楽団が登場する。

高関健指揮の京都市交響楽団は26、27日に京都コンサートホール(京都市左京区)。関西フィルハーモニー管弦楽団は27日、首席指揮者の藤岡幸夫が振り、メイシアター(大阪府吹田市)で公演する。

音楽評論家の白石知雄氏は「各楽団の個性や実力をじっくり見極めるよい機会。初心者でも取っつきやすい」と話す。白石氏は指揮者や奏者以上に4人起用されるソロ歌手に注目する。「関西では近年、第九の演奏会は実力ある若手が注目される機会として重視される傾向が強い。会場でじっくり歓喜の歌を聴き比べてほしい」と勧める。

(大阪・文化担当 田村広済)

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