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もっと関西 味付けのり、なぜ関西で人気?(とことんサーチ)
甘から味 だし文化に合う コンビニおにぎり、東西で違い

2017/4/22 6:00
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大阪市内のコンビニエンスストアでは味付けのりのおにぎりをよく見かける。関西人にとっては「おにぎりののりは味付けが当たり前」といい、家庭で作るおにぎりでも味付けのりを使う。スーパーでも焼きのりより味付けのりの品ぞろえが多いようだ。関東ではのりといえば味のついていない焼きのりが一般的というが、関西では嗜好が違うのだろうか。

味付けのりを使ったおにぎりは店頭でも目に付く(大阪市中央区のセブンイレブン大阪ビジネスパーク東店)

味付けのりを使ったおにぎりは店頭でも目に付く(大阪市中央区のセブンイレブン大阪ビジネスパーク東店)

まずコンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンを訪ねた。「関西地区のおにぎりの売り上げ上位はツナマヨと焼鮭(やきざけ)。どちらも味付けのりです」と商品本部関西地区マーチャンダイザーの若井祐介さん。「関西は味付けのり文化。小さい頃から食べ慣れた味が好まれます」という。

同社は地域ごとにおでんのだしや具を変えるなど地域の嗜好にあわせた商品開発を進めており、おにぎりもその一環。味付けのりのおにぎりの販売は2006年から手掛け、改良を重ねてきた。昨年10月、関西地区の店舗で販売する味付けのりのおにぎりを強化したところ、売り上げが1.2倍に増えた。

パッケージデザインに「味付のり」の表示を大きくして見やすくし、のりを有明海産から兵庫県産に変更。関西人の好みにあわせて、より甘さを感じられる味付けに変えた。品ぞろえも従来の1~2品から4~5品に増やしたところ、店頭の1棚が全て味付けのりで占められるようになり、目に付きやすくなった。4月にパッケージを変えたが「味付けのりのおにぎりは安定して売れている」(若井さん)という。

スーパーでものりの売れ行きに東西の違いがある。関西と首都圏で店舗を運営するライフコーポレーションでは、関西では味付けのりが焼きのりの2倍売れる。逆に関東では焼きのりのほうが多い。店頭の品ぞろえも東西で異なるという。

「関東と関西のおにぎりの形がちがうことも品ぞろえに影響している」(同社)という。三角おにぎりが多い関東では大きめの全形や3切サイズがよく売れ、関西では俵型おにぎりを巻きやすい味付けのりが好まれるという。

味付けのりは昆布やカツオなどのだし、砂糖、しょうゆ、みりんといった材料で味を付けている。のりの養殖技術が確立され、庶民がのりを食べられるようになった江戸時代、生産は東京湾が中心で、良質なのりは関東を中心に流通していた。味付けにすれば品質があまり高くないのりでもおいしく食べられることもあって、焼きのりがあまり普及していなかった関西で味付けのりが受け入れられるようになったようだ。

全国海苔(のり)問屋協同組合連合会が発行した「海苔の歴史」によると、味付けのりの販売は1869年の東京の山本海苔店が最初。だが、はけで1枚ずつ味付けしていたため、生産量が限られ、価格も高かったという。

だしを含ませたスポンジ状のロールの間にのりを通して味付けする(福岡県みやま市のニコニコのり九州工場)

だしを含ませたスポンジ状のロールの間にのりを通して味付けする(福岡県みやま市のニコニコのり九州工場)

味付けのりの大量生産を始めたのが、戦前に大阪の木津市場で創業したニコニコのり(大阪市浪速区)だ。商品開発部の志(しい)智久課長に聞くと「当社の前身である山徳商店が1931年にロール式の味付け機を開発した」との答え。だしを含ませたスポンジ状のロールの間にのりを通して両面に味付けし、現在の工場でも同じ方式で製造する。機械化による大量生産に加え「32年に始めた大角瓶入りのばら売りも好評だったため、大阪でのりの大衆化が進んだ」と志課長。

関西と関東、のりの好みに違いがあるのはなぜだろうか。食の嗜好などを研究している武庫川女子大学の藤本憲一教授は「うどんだしやだし巻き卵でも分かるように、関西にはベースにだし文化がある。のりそのものの味を楽しむ関東に対し、関西は昆布やかつおのだしやしょうゆが合わさった複合的な味が好まれるのでは」と分析する。食卓の主役というより脇役といえるのりだが、関西では味へのこだわりも根強い。

(大阪・文化担当 小国由美子)

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