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「ロームシアター京都」開業1カ月 オペラも可能、興行変える

<訂正> 2月14日6時に掲載した「『ロームシアター京都』開業1カ月 オペラも可能、興行変える」の記事中、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーの演目を「白鳥の湖」としたのは、「くるみ割り人形」の誤りでした。

音楽ホールの京都会館(京都市左京区)が改修を終え、先月に「ロームシアター京都」として再開業した。舞台を広げ、オペラやバレエも上演できる会場に生まれ変わった。これまで京都を素通りしてきた人気アーティストの公演が相次いでおり、関西の興行地図を塗り替える可能性がある。

広がった舞台を生かし、工夫を凝らした配置で上演したオペラ「フィデリオ」=写真 佐々木 卓男

山下達郎、GLAY、井上陽水――。3月の公演予定をみると数千人のホールを楽々埋める人気者がずらり顔を並べる。

旧京都会館は1960年開館。京都府内唯一の2000人規模のホールだが老朽化のため、2012年3月に閉鎖し、改修を進めてきた。「ライブの演出や仕掛けが派手かつ大規模になるなか、手狭過ぎて敬遠される傾向があった。会場の音響にこだわることで有名な山下達郎が選んだのだから、大物の京都回帰が進むのでは」。音楽評論家の石井誠氏はそう指摘する。

メイン、サウス、ノースの大中小3ホールのうち、改修の目玉になったのがメインホール(2005席)。舞台は奥行き約22メートル、高さ約12メートルと以前に比べてそれぞれ10メートル、6メートル拡大した。奥に行くほど狭くなった旧第1ホールと打って変わってのびのびしたステージは、演出に凝るポップス系アーティストにはひときわ魅力的に映る。

もっとも恩恵はクラシックの方が大きいだろう。最前列の約170席をオーケストラピットに組みかえ、オペラやバレエの上演が可能になった。

ロームシアター京都の蔭山陽太支配人は小澤征爾総監督・指揮の旧「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」オペラ会場のまつもと市民芸術劇場、KAAT神奈川芸術劇場の支配人を歴任し、海外のクラシック界にも明るい。「欧米の歌劇場や楽団が来日の日程を組むとき、『京都は入らないか』と必ずといっていいほど話題になる」と明かす。千年の古都は海外アーティストにとって一公演会場というだけでなく、ぜひ立ち寄りたい地でもある。

京都になぜオペラが上演できる劇場がなかったのか。海外の名門歌劇場の来日が相次ぐのは70年代から。東京でさえオペラ仕様の東京文化会館が開館したのは61年。60年当時の地方都市の興行事情を考えれば、多目的ホールとして整備されたのは当然だった。

時代遅れになってきたホールを大規模改修するに当たり、名乗りを上げたのが電子部品大手のローム。建設工事費約110億円のうち52億5000万円を負担、施設に企業名を冠するネーミングライツを得た。

1月11日には開館記念として、ベートーベンのオペラ「フィデリオ」を新趣向で上演。同30日にはロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーによる「くるみ割り人形」が続いた。2月18日には小澤征爾音楽塾によるオペラ「こうもり」が控える。

華々しい再出発だが、近隣のホールから観客を奪いかねないとの指摘もある。蔭山支配人は「劇場文化はあくまで地域密着。午後7時の開演時間に駆け付けられるのは近隣の通勤・通学者や住民が大半。この層を掘り起こすことはあっても、よそから観客を奪う可能性は低い」と説明する。

オペラは人件費、製作費がかさむ。そのため、公演を自主制作する体制は原則として持たない。当面は会場の貸し出し(貸し館)業務を主軸にする構えだ。

近接する滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(大津市)はどうみるか。「貸し館業務の一部が流出しつつあるのは確か。ただ、当館の芸術監督が陣頭指揮し毎年自主企画・制作するオペラは県内外の愛好者が定着している。京都とは相乗効果でファンを拡大していきたい」と山中隆館長は期待も膨らませる。

(編集委員 岡松卓也)

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