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京都・奈良で相次ぎ映画祭 作品選びに個性競う

この秋、関西で注目の映画祭が相次ぐ。京都では吉本興業が中心になり「京都国際映画祭」が初開催。奈良では地元出身の映画監督、河瀬直美が主導する映画祭が始まった。ミニシアターも独自のイベントを企画。大規模ではないが、関西ならではの映画文化の伝統を生かし、個性を放つ。

10月16~19日、よしもと祇園花月(京都市東山区)などを会場に開く第1回「京都国際映画祭」。1997年から2012年まで京都市などが主催した「京都映画祭」を吉本などでつくる実行委員会が引き継いだ。約30本の映画を紹介。現代アートの展示会も開き、幅広い文化発信を狙う。

「なら国際映画祭」のプレイベントで魅力を語る河瀬監督(右、大阪市中央区)

新垣結衣と大泉洋が夫婦役で初共演した「トワイライト ささらさや」など、話題作をそろえた。かつて大映京都撮影所が手掛けた特撮時代劇「大魔神」(66年)のような旧作で、ご当地色を打ち出す。

もっとも、上映作の中には同じく吉本が主導する「沖縄国際映画祭」で披露された作品との重複も多い。どれだけ新鮮さを打ち出せるか課題も残る。松竹などで活躍した総合プロデューサーの奥山和由は「かつて京都でしのぎを削った撮影所では、過去の作品を研究・分析しつつ新たな試みを繰り返した。映画会社ごとの専属映画館が多かったのも撮影所システムを支えた。映画祭をそんな『場所』にしたい」と今後の可能性に期待をかける。

奈良市では第3回「なら国際映画祭」が15日まで開催中。河瀬をエグゼクティブディレクターとし、市内の新公会堂や春日大社を会場に、国内外の約40本の未公開作品などを上映する。

特徴は「河瀬色」の強さだ。コンペティション部門での上映8作品を選んだ選考委員長は、河瀬がカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「殯(もがり)の森」(07年)に主演した宇多滋樹が務める。最終的な審査員長は河瀬作品を初期の頃から評価していた映画プロデューサーのルチアーノ・リゴリーニが就いた。

河瀬人脈に頼った人選で上映作品を選ぶと、映画祭の幅を狭めてしまう危険性はある。ただ全国各地で映画祭が乱立する中、ポリシーを前面に打ち出せる強みがあるのは確かだ。

ミニシアターでもイベントに知恵を絞る。大阪・九条のシネヌーヴォは「中編映画祭」として40~60分程度の映画館では上映されにくい中編映画を特集している(19日まで)。

関西の映画界に詳しいエッセイストの武部好伸は「映画祭は映画人の交流の場という面と、自分たちが発見した新たな作品・才能を発信するという2つの面がある」と指摘する。交流や情報発信では発展著しいアジアの映画界とのつながりも鍵を握る。

「京都国際映画祭」実行委員会のメンバーら(京都市東山区)

毎年3月、大阪市内の映画館でアジア映画を紹介してきた「大阪アジアン映画祭」は来年が10回目。プログラミングディレクターの暉峻(てるおか)創三は「監督業もこなす女優の杉野希紀が期間中に知り合った韓国人監督と大阪を舞台に新作を作った例がある。今年は本国未公開のタイ映画を初上映し、タイの映画ファンがツアーを組んで来阪した」と成果を上げる。来春も約50本の新作アジア映画を紹介する予定だ。

自治体の財政難で行政の支援をあてにした映画祭は難しくなった。国内外の映画人を結びつけ、新しい人材の種をまきながら、関西の魅力、個性を国際発信する。映画祭はそんな幅広い役割を求められている。

=敬称略

(大阪・文化担当 安芸悟)

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