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生協向け、基幹産業に育成 洗浄のリサイクル(3)

軌跡

1930年、渋谷油脂と灘購買組合(現・生活協同組合コープこうべ)との取引が始まった。後に第4代組合長となる田中俊介に、創業者の渋谷義雄が売り込みに行ったのがきっかけだ。長い棒状の洗濯せっけんを取り出すと、田中は「この住吉村(現・神戸市東灘区)は高級住宅地。名前の通った高級品でないと売れない」と言った。確かに住吉村は関西有数の別荘地。住友家の住友吉左衛門、武田薬品工業の武田長兵衛、安宅産業の安宅弥吉ら著名人が居を構えたことで知られる。

1955年当時の粉せっけんの広告

ただ生協運動は社会運動家、賀川豊彦の強い影響を受けていた。義雄が「生協は消費者のためのもので、金持ちだけが相手ではない。品物が良く皆に喜ばれるものなら売れるはず」と一席ぶつと、田中は「おまえはなかなか面白い」と渋谷油脂を納入業者に加えた。生協向けは基幹事業に育った。

棒せっけんと洗濯板の時代が終わり、洗濯機が普及すると粉せっけんの引き合いが増えた。けれども小麦粉のように微細な粉がふわふわ舞い、クシャミが出る難点を抱えていた。泡立ちの良い合成洗剤との競合では土俵際まで追い詰められた。

71年に顆粒(かりゅう)状の粉せっけんを製品化して巻き返した。生分解性が高く、環境負荷が小さい点も前面に打ち出した。粉せっけんの最も効果的な使用法を伝えるために、2代目会長の卓磨は各地で1600回以上の講演をこなした。(敬称略)

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