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資料館や証言で実像探る ビートルズ来日50周年、イベント続々

20世紀最大のポップスター、ザ・ビートルズの来日公演から50年。関西でも記念イベントが目白押しだ。兵庫県に先月、ビートルズ専門の資料館ができるなど、熱気を帯びている。4人は通説や誤解をもとに神格化されがちな面があり、史実に沿って人物像を見つめ直そうという機運もある。

「グラス・オニオン」ではアニメ映画に登場するイエロー・サブマリンの模型も展示する(兵庫県赤穂市)

兵庫県赤穂市に5月15日に開設したビートルズサロン「GLASS ONION(グラス・オニオン)」。熱狂的ファンの岡本備さんが収集した関連図書、メンバーのサイン入りレコード、ポスターといったグッズを展示している。

ビートルズは1966年6月末に来日。当時中学3年だった岡本さんも日本公演を体験した。「『ロックを聴くと不良になる』と言われていた時代。チケットを入手したものの、おおっぴらに聴きに行ける境遇ではなかった」と振り返る。

「グラス・オニオン」はビートルズ後期の曲。歌詞に「フール・オン・ザ・ヒル」など、他の曲名がいくつも登場する。象徴詩のような歌詞を深読みしたがるファン向けに種明かししてみせるような曲だ。

「ガラスのタマネギ越しに見ればこんなもんさ、という感じ。世間のビートルズ像が誤解まじりで曇っていないかと気がかり。実はこうだと伝えたい」というのが命名の動機になった。

「グラス・オニオン」を開いた岡本備さん(兵庫県赤穂市)

60年代後半の世界を覆った若者の抗議行動や反戦思想。サイケなどファッションリーダー性。専業の作詞・作曲家に頼らず自作自演で音楽ビジネスを切り開いた先駆的変革者。こうした時代を動かした影響力に目配りしつつ、来館者とのビートルズ談議を楽しむ。

岡本さんは中学1年の時「ア・ハード・デイズ・ナイト」でビートルズと出合った。出だしの12弦ギターに魂を揺さぶられ「生涯をかけて彼らの偉業を伝えていく。そんな運命的なものを感じた」。東京で広告イラストレーターとして個人事務所を開いていたが、2014年に帰郷。古民家を利用して開設した。

コレクションは英米まで足を運んで入手。計2万点を超すが、展示スペースの制約で300点前後しか置けないため、展示替えしていく。6月30日から8月30日まで市立民俗資料館で開く来日50周年記念展にはコレクションの多くを出展。8月11~14日には岡本さんのトークショーも開く。

日本でビートルズがどう受け入れられたか、改めて検証する動きもある。

「あと100年もすれば、ビートルズはベートーベンやモーツァルトと並ぶ存在になる。しかし"神棚"にまつられるまでにどんな曲折を経たかは忘れられがち。同時代のファン以外にも解散後に知った子や孫世代を含め、各世代の生きた証言を集めれば社会学的に意義がある記録になる」

そう語るのは大谷武文・近畿大学教授。今月3日、大阪市阿倍野区の近鉄アート館スペース9で来日50年記念のトークイベントを開いた。今後、ファンそれぞれのビートルズ体験をメールで募集する。

80年に亡くなったジョン・レノンは平和運動家のイメージが強いが「決して聖人君子ではなく多様な顔があった」と大谷教授。ビートルズの関連図書は無数に刊行されているが、ファンの体験談集積というアプローチは現象分析に一石を投じそうだ。

(編集委員 岡松卓也)

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