在阪楽団と連携、演奏競う 東京・東北のオケ、大阪公演に力

2016/7/10 6:00
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東京や東北など関西以外を拠点にするオーケストラが大阪公演に力を入れている。公演回数を増やすだけでなく、在阪楽団との連携や、関西ゆかりの指揮者を起用することによって聴き手にアピールする。今後、関西のクラシック文化の勢力図が変わっていく可能性もある。

読売日本交響楽団は初めてフェスティバルホールで大阪定期公演を開いた(大阪市北区)(C)読響

読売日本交響楽団は初めてフェスティバルホールで大阪定期公演を開いた(大阪市北区)(C)読響

6月30日、フェスティバルホール(大阪市北区)で読売日本交響楽団の第14回大阪定期公演が開かれた。フランス出身の常任指揮者シルヴァン・カンブルランが登場。大編成のマーラー「交響曲第5番」は力強く壮大な音を響かせた。

読響はNHK交響楽団、東京都交響楽団とともに在京オケ御三家といわれる。2011年度に始めた定期公演は当初年1回だったが、13年度に2回、14年度から3回に増やした。会場は従来客席数約1700席のザ・シンフォニーホール(同)だったが、今年は同2700席のフェスティバルホール。同楽団制作・広報担当の大久保広晴氏は「大阪で読響を聴きたいという観客層が広がっている」と自信をのぞかせる。

山形県を拠点にする山形交響楽団は6月22日、いずみホール(同中央区)で定期演奏会を開いた。「さくらんぼコンサート」と題して5年前から開催してきた。ホワイエではブランド米「つや姫」など山形の物産展を開き、来場客全員にサクランボを振る舞った。

指揮は神戸出身のチェロ奏者で、山響で首席客演指揮者を務める鈴木秀美。メンデルスゾーンやハイドンの曲では演奏しながら指揮する「弾き振り」を披露した。山響の西浜秀樹専務理事は「山形の文化と山響の音楽を大阪に届けようとしている。今後も継続したい」と語る。

東京佼成ウインドオーケストラでコンサートマスターを務める田中靖人

東京佼成ウインドオーケストラでコンサートマスターを務める田中靖人

今年から大阪での定期公演を始めるのは東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)だ。初回は11月24日にシンフォニーホールで開く。指揮者には関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者の藤岡幸夫を起用。大阪の吹奏楽団「シオン」と組んで同楽団の10月の定期公演とセットにしたチケットを販売。既に完売した。

TKWOは吹奏楽の有名曲に加え、作曲家に委嘱した新作を演奏することも多い。今回の演目、伊藤康英「ラ・フォリア」は楽団メンバーそれぞれのソロパートを設ける。コンサートマスターのサックス奏者、田中靖人は「おなじみの名曲から、比較的新しい曲まで幅広く演奏する。普段の我々の取り組みや、各団員の魅力に触れてもらえるのでは」と期待を込める。

関西以外の楽団の大阪公演について、藤岡は「演奏会が増えること自体は歓迎すべき」と強調する。その上で「これからはクラシックファンではなく、各楽団のファンを増やさなければ。いかに顔や名前を売っていくか」と地域を超えた競争が激しくなるとみる。山響音楽監督で在阪の日本センチュリー交響楽団の首席指揮者でもある飯森範親は「観客の耳が豊かになることが大切。批評的な聴衆が増えた方が楽団にとってもありがたい」と言う。

一方、音楽評論家の横原千史氏は「関西で人材を発掘する力が近年弱くなっていると感じる」と懸念も示す。例えば若手の登竜門、ABC新人コンサート・オーディション(ABC音楽振興会主催)が今年度で約四半世紀の歴史に幕を閉じる。「演奏会を開くだけでなく、音楽家を育て、生み出すことも文化の醸成に欠かせない」と指摘する。

(大阪・文化担当 安芸悟)

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