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独立系キュレーター 現代美術展に新風

美術館や博物館の展覧会を企画するキュレーターの存在感が増している。従来は公共や企業の施設に学芸員として所属する例が多かったが、現在脚光を浴びるのは特定の組織に縛られず、フリーな立場で活動する「インディペンデントキュレーター」だ。関西を拠点に活躍する注目株に迫った。

大阪市此花区にあるギャラリー、ザ・スリー・コノハナ。7人の現代美術家による絵画、写真、彫刻、映像を並べたグループ展「OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」が3月1日まで開かれている。企画したのは気鋭のインディペンデントキュレーター、長谷川新(26)だ。

学芸員の資格は持たず、普段は塾講師として働く。しかし、同ギャラリー代表の山中俊広は「知識量がすごい。若手キュレーターのホープ」と長谷川の知見や企画力に太鼓判を押す。

京都大学で文化人類学を学んでいたが、同世代の美術家の友人らを通じ、日本のインスタレーションに興味を持つ。2013年、大阪市のギャラリーで初めて美術展を企画。昨年、京都造形芸術大学のギャラリーで開かれた企画展「無人島にて―『80年代』の彫刻/立体/インスタレーション」などを手掛け、高い評価を得た。

今回の企画について「近年、現代美術では素材の固有性を強調する『メディウム・スペシフィシティ』の議論が盛んだが、それとは逆に各作品の近さを強調したかった」と長谷川。「展覧会のアイデアはまだたくさんある」と意気込む。

昨年10~11月、大分県で開かれた大規模なアートイベント、国東半島芸術祭の「希望の原理」展を企画したのは京都市在住の遠藤水城(39)だ。現代美術家が現地に滞在し制作した作品と大分伝統の陶芸、小鹿田(おんた)焼を一緒に並べた。全国各地の芸術祭などでも展覧会を企画する。

09年から京都市が主導する事業、東山・アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)で中心的な役割を担う。京都市東山区に点在する空き家を若手美術家に紹介したり、美術家による住民向けのワークショップを開いたりと、地域社会とアートの融合に力を注いできた。

遠藤は「現代アートは美術館には収まりきらない力を持つ。美術館に名品が並ぶことより、美術家が身近に存在し、それが目に見えることに創造性があると信じる」と強調する。

木ノ下智恵子(43)は1996~05年、神戸市兵庫区の神戸アートビレッジセンターで美術展などを担当していた。だが、大阪大学がコミュニケーションデザイン・センターを開設するにあたり、05年に特任准教授として招かれる。「一つの施設にいると、施設以外での事業展開には様々な制約が付き物」と指摘。現在は阪大に勤めながら、フリーで展覧会を企画する。

大阪・中之島のアートエリアB1を中心にした展示やイベント、大阪市住之江区の北加賀屋一帯でのアートプロジェクトに力を入れる。昨年は倉庫跡「MASK」でやなぎみわ、ヤノベケンジらの巨大作品を一同に並べるという壮大な展覧会を手掛けた。「芸術には枠組みを超越する力がある」と語り、美術家だけでなく、企業やNPOを巻き込んで芸術による交流の幅を広げる。

公共施設に所属する学芸員は展覧会の企画だけでなく、保存、収集などの仕事も担う。民間のギャラリーでは展示作品を売ることも重要な仕事だ。一方、自由な立場で活動するインディペンデントキュレーターは既存のアイデアに縛られず、展覧会を活性化する可能性を持つ。社会との関わりを強く意識する彼らは現代アートにとって重要な存在になりそうだ。=敬称略

(大阪・文化担当 安芸悟)

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