能や狂言から着想も オペラの季節、上演続々

2014/10/12 6:30
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オペラにふさわしい季節。関西でも能から生まれた「カーリュー・リヴァー」、狂言を下敷きにした「鬼娘恋首引(おにむすめこいのくびびき)」、巨匠ベルディの「リゴレット」「ドン・カルロ」など盛りだくさんだ。初心者から通まで楽しめるラインアップを紹介する。

「カーリュー・リヴァー」の練習をする出演者ら(大阪府豊中市のザ・カレッジ・オペラハウス)

「カーリュー・リヴァー」の練習をする出演者ら(大阪府豊中市のザ・カレッジ・オペラハウス)

今月上旬、大阪音楽大学に隣接するザ・カレッジ・オペラハウス(大阪府豊中市)を訪ねると、11、13日に上演する「カーリュー・リヴァー」の稽古の真っ最中だった。冒頭の渡守が登場する場面で演出の井原広樹から注文が飛ぶ。「もっと船を操る感じを出して」

作者は英国の作曲家ブリテン。1956年に日本で鑑賞した能「隅田川」に想を得て生み出したオペラだ。息子をさらわれ、気がふれてしまった母親が、カーリュー・リヴァーという川にたどり着く。船中、渡守の話から、息子はすでに亡くなったことを知る。おおまかな筋立ては母の悲嘆を描いた隅田川と同じだ。

今回は、狂言を基にした愉快な「鬼娘恋首引」(茂山千之丞台本、鈴木英明作曲)との2本立て。鬼が娘に人間の男を食べさせようとするが、鬼娘は男に恋してしまうというコメディーだ。

演出を手がける井原広樹(右)と指揮者の山下一史(大阪府豊中市のザ・カレッジ・オペラハウス)

演出を手がける井原広樹(右)と指揮者の山下一史(大阪府豊中市のザ・カレッジ・オペラハウス)

両作とも演出は井原、指揮は山下一史、演奏はザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団。井原は「内容の全く異なる作品だが、テーマはともに親子の愛情。2本続けて見れば、違った味わいがあるのでは」と見どころを挙げる。

一方、山下は「ともに上演の機会が少ないが、作品の世界観が明確でやりがいがある。『カーリュー・リヴァー』では母親の魂が救済されるクライマックスを存分に味わってほしい」と話す。

大津市のびわ湖ホールでは11、12日、ベルディの代表作「リゴレット」が上演される。主人であるマントヴァ公爵に一人娘ジルダを弄ばれた道化師リゴレットが報復を誓う。指揮は沼尻竜典。「有名なアリアが多く、シンプルでもぐいぐい引き込まれる。改めてベルディの奥深さに気づかされる」と説く。

ダブルキャストで11日にジルダを初役で演じる幸田浩子は「学生の頃、1カ月かけ勉強した作品。ジルダを演じるのは念願だった」と力を込める。12日にマントヴァ公爵を演じるジョン・健・ヌッツォは「色男の公爵を魅力たっぷりに演じたい」と意気込みを語る。演出は田尾下哲、管弦楽は日本センチュリー交響楽団。

ほかに、関西二期会は25、26日、兵庫県立芸術文化センター(西宮市)で、やはりベルディの代表作「ドン・カルロ」を上演する。11月5、6日、あましんアルカイックホール(兵庫県尼崎市)での團伊玖磨作「夕鶴」は新国立劇場(東京)による「高校生のためのオペラ鑑賞教室」と銘打った企画。初心者にもお薦めだ。12月6日、いずみホール(大阪市中央区)では、モーツァルトの喜劇「フィガロの結婚」も上演される。

今秋のオペラのラインアップについて、音楽評論家の白石知雄氏は「古典から現代の作品、西洋と日本、悲劇や喜劇などまんべんなく楽しめる。オペラを一から学ぶにも良い機会」と話す。秋の夜長、趣味を広げる好機かもしれない。

(大阪・文化担当 田村広済)

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