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大阪人 ソースにかける熱意(とことんサーチ)

粉もんの友 使い分け自在

家に3種類以上 ご当地品も多彩

大阪のスーパーで買い物をしていると、ソースの売り場が充実していることに気付いた。お好み焼き、たこ焼き、串カツの調味料として買い求めるのはもちろん、カレーや天ぷらにかける人もいると聞く。街頭でのアンケートや関係者への取材を重ね、奥深い世界にどっぷりつかってみた。

大阪の人はどこまでソース好きなのか。まず天神橋筋商店街や千林商店街、難波など大阪府内を通行中の主婦計50人(近隣府県の在住者含む)に独自のアンケートを試み、8つの設問に○×で答えてもらった。

驚いたのは7割超が「家に3種類以上ある」、8割が「料理によって使い分ける」と答えたことだ。堺市の58歳主婦は「お好み、焼きそば、とんかつの3種類は基本」と回答。「5種類以上は常備している」(堺市、52歳)との声もあった。

関東では「ブルドックソース」などの中濃ソース1本を様々な料理に使う人が多い。関西でも「イカリソースしか使わない」「カゴメ一筋」「オリバーが好き」といった声はあるが数種類を使うのが主流だ。中には混ぜる人もいる。8項目に○と答えた大阪市の50歳主婦は「ウスターととんかつソースを混ぜてそばめしを作ったりハンバーグソースを作ったりする」。

関東と違う使い方も目立つ。「天ぷらには天つゆよりソースだ」は14人。記者がカレーに入れた経験がないと話すと「入れへんの?」と驚く人も。奈良市の72歳主婦は「冷たいコロッケをソースに浸して食べるとおいしい」と力説する。

総務省の家計調査によると2014年の都道府県庁所在地別の1世帯あたりソース消費量で大阪市は7位。1位の広島市、2位の神戸市、3位の徳島市などとともに上位だ。大阪の特徴は消費量の多さに加え多様性。中堅スーパーのライフコーポレーションによると首都圏の店舗で扱う種類が80強なのに対し、近畿圏では120強と5割多い。

なぜこれほどソースが好まれるのか。「お好みソース」で知られるオタフクホールディングス広報室の田淵亜希子さんは「古くから小麦を使った食文化が発達したのが一因」と話す。

大阪はコメ産地から遠かったことなどから小麦文化が発達した。大正時代に生まれた「一銭洋食」が戦後、お好み焼きに形を変えるなどして粉もんが普及した。小麦を使った料理は味が薄くソースが味付けを決めるのに重宝されたわけだ。

お好み焼き店「くいしんぼ本店」を運営するグルメジャパン研究所(大阪市)の森久保成正社長は「お好み焼き、たこ焼きの店が他店と違いを出すため工夫を凝らし、ソースの種類も多様になった」と語る。顧客の要望に応じ少量作る地ソースも大阪で発達した。

独特な甘みとスパイシーな香りの「ヘルメスソース」で知られるのが大阪市東住吉区の石見食品工業所。3代目社長の坂井一喜さんは「値段が上がっても良い原材料を使い同じ味を守ってきた」と胸を張る。家族4人と従業員2人が少量生産している。約10年前からインターネットで個人向けにも販売しており「今は配送まで1カ月待ち」だ。

難波で焼きそば、お好み焼きを提供する「やん!」は全国から取り寄せた約300種類をそろえている。店主の沢田敏行さんはソースソムリエ。好きな味を伝えると選んで調理してくれる。「地ソースも地酒のようなもの」。基本的に複数の種類を混ぜない。「味は一つ一つ全部違う。ソースだけで食べてもおいしい」

関東での生活が長い記者はソースが苦手だったが、取材でいくつかの種類を試食するうちに好きな味もあると気付いた。今度はカレーに入れてみようかな。

(大阪経済部 長田真美)

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