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愛され育て 滑らか関節 阪大の触れ合いロボ(ここに技あり)

大阪府吹田市など

空気バルブを開けると、小柄なロボットがむくむくっと腕を上げ、動き出す。金属むきだしの腕や胴体に似つかず、動きは滑らかで複雑だ。

大阪府吹田市の大阪大学吹田キャンパスの一室で、石原尚助教らが赤ちゃん型ロボット「アフェット」の開発を進めている。身長は80センチメートルで、2歳前後の体格だ。上半身だけで13個ある関節が柔らかくしなやかに動き、赤ちゃんらしい動きを生み出す。石原助教が目指すのは「人と触れ合って遊べるロボット」だ。

モーターや油圧で動く従来のロボットは重厚で力強く、精巧に動くため工場などで活躍している。ただ近づくと危険で、大人でもメカらしい動きや振動、音などに恐怖を感じるため、人と触れ合える代物ではなかった。そこで空気圧の技術に着目。空気圧で動かせば静かで動きに弾力が出てくるため、ぶつかっても壊れにくく安全に触れ合える。構造的にも心理的にも人になじみやすい技術だ。

今後は丈夫で弾力のある皮膚でロボットの体を覆い、外見やさわり心地も赤ちゃんに近づける。将来は人工知能を搭載し、人との触れ合いのなかで学習させる。研究を統括する浅田稔教授は「人が同じ経験をした人に共感するように、ロボットも人と同じ経験をすれば、人に対する思いやりや共感が芽生えるのでは」と夢見ている。

豊中市の阪大豊中キャンパスでは、小型犬サイズの4脚ロボットがガタガタと音を立てて駆けていた。時速7~8キロメートルで走り、このサイズでは世界最速レベルという。しなる脚や筋肉がなせる業で、センサーを基にしたコンピューター制御は不要だ。ここでも筋肉となる部分に空気圧を利用している。

「構造が優れていれば、高度な情報処理がなくともロボットは知的に振る舞う」。開発を指揮した細田耕教授はこう話す。ロボットの動きが滑らかになるほど、人との心理的な距離も縮まる。イヌのほか、人の腕や脚の骨格を再現したロボットを作り、骨や筋肉の構造に宿る機能を探っている。

文 大阪経済部 岩井淳哉

      写真 三村幸作

<カメラマンひとこと> 「シューッ」という空気の音とともに最新型の骨格部分が柔らかく動き出す。赤ちゃんロボットのイメージが湧くよう、人工皮膚を付けた旧型を隣に配置。くねくねと回る腕を不思議そうに眺める好奇心旺盛な子供のようで、かわいらしかった。

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