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天才、和算と西洋つなぐ 数学者列伝(2)

軌跡

「知られざる天才だ」。7月下旬に大阪市立中央図書館で開かれた講演会。武庫川女子大学の丸山健夫教授は、江戸時代末期から明治時代に大阪で活躍した数学者・福田理軒をこう評した。日本で初めて西洋数学を紹介した書物を残し、数学界でも一目置かれる存在でありながら、大阪ではあまりに知られていないからだ。

順天堂塾の授業風景(「算学速成」から転載)

福田は大阪出身で兄と共に数学を学ぶ。19歳で現在の大阪市南本町付近に「順天堂塾」という数学塾を開いた。子どもから商人まで通い人気を集めた。丸山教授は「商人は道楽として数学を楽しんでいた」と語る。付近は天文学者である麻田剛立の塾もあった場所。当時の本町周辺は最先端の科学に触れられるサイエンスパークのようだった。

福田が1857年に出版した「西算速知」は日本で最初に西洋数学を解説した本だ。中国から輸入した書物などを参考に、日本固有の和算と西洋数学を組み合わせて解説。漢数字で九九を計算する方法などを、書いて計算する筆算として説明している。

明治維新後、新政府は西洋数学の導入を決めた。日本の数学教育における大きな転換点で、身近な生活を理解する道具として使われてきた和算がなくなり、西洋数学だけが押しつけられた。丸山教授は「日本人が数学嫌いになった一因かもしれない」と分析。和算と西洋数学をつなごうとした福田を振り返ることで、数学教育を見直す契機にしてもらいたいという。

福田は明治維新後、東京で数学塾を開く。塾はそのまま引き継がれ、東京・王子にある順天学園へと続く。同学園は創立者である福田理軒の名前を冠した「理軒館」を建設中で、来年7月に完成する予定だ。同学園は「建学の精神を伝えたい」としている。

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