大阪観光振興、周遊バスで 市内13名所に訪日客誘う(ひと最前線)
資金・運営 リスク越え

2016/4/7 6:00
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 大阪城など大阪市内の13の名所を巡る2階建て観光バス「大阪ワンダーループ」が3月、運行を始めた。運営するのは一般社団法人「One Osaka ループバス推進機構」。バス停の命名権(ネーミングライツ)料や車体広告、寄付金などをかき集めて発車に踏み切った。インバウンド(訪日外国人)に沸く大阪観光を盛り上げ、地域活性化につなげたいという大阪人の気概が原動力になっている。

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 「観光都市なら世界中どこにでもあるのに、どうして大阪にはないんだ」。推進機構の会長、岡政徳(69)の動機はいたって明快だ。わかりやすい交通手段で、景色も楽しめる周遊バスを求める声は実は10年以上前からあった。収益性への懸念や路線バスとの競合に対する抵抗感から、なかなか実現しなかった。

 動き始めたのは2年前。推進機構の理事長、堀感治(39)らが岡に協力を持ちかけたのがきっかけだ。関西国際空港内の観光案内所を運営する堀は常々、大阪が観光資源を生かし切れていないことを痛感。有志が集まってリスクを分担すれば、もっと大阪を盛り上げられるはずと考えた。

 岡は20年近く関西経済連合会のスタッフとして、関空の立ち上げや大阪への五輪招致活動などに関わってきた。周遊バスの運行に向けては、行政や経済界との人脈を生かせる岡が対外的な折衝を担った。

 当初は企業を回って協力を要請しても反応はさえず、実現を信じてもらえなかった。一番苦労したのは協力者集めではなく、実はバス停の設置だったという。停留所の設置には近畿運輸局、大阪市建設局、大阪府警察などから許認可を得る必要がある。さらに周辺の住民や事業者の同意も得なければならない。「1人でも反対すれば設置できず、交渉には膨大な時間を費やした」(岡)

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 周遊バスは、初乗りから24時間乗り降りが自由。チケットは3000円のパンフレットだ。製作したのは、ぴあ中日本・西日本エリア事業局長の今野毅(48)。2014年8月に依頼を受けたが「実現性などから社内では反対の声もあった。大阪を盛り上げたいとの一心で説得した」という。

 日本旅行がブームとなり、外国人が訪日前に観光情報に触れる機会は増えた。そこでパンフレットには大阪に来なければわからない「着地型の情報」を多く掲載した。古民家を利用した商店、激安グルメに加え、人形やかぶとが楽しめる松屋町筋を「さむらいストリート」と名付けて紹介。パンフレットは旅行会社やホテル、航空会社などで販売している。

 バスの運行を担当するのは緑風観光(大阪市)。他のバス会社が尻込みするなか、社長の若原康正(54)は「誰かがやらねば始まらない」と意を決した。

 緑風観光は学校や病院への送迎やツアーバスの運行を手掛けてきたが、若原自身、10年ごろから訪日客向けの事業には関心を持っていた。客からも周遊バスへの問い合わせが頻繁にあった。周遊観光では先輩格のはとバス(東京・大田)で研修してもらうなど、準備を着々と進めてきた。

 課題の1つが運行体制だ。南海バスの車両と2台で運行しているが、各停留所での運行間隔は1時間近くもある。利便性を高めるには便数増が必要だ。岡も現状には満足していない。「大阪への観光客数は増えたが、観光都市としての大阪は未熟」。観光インフラの整備が不十分という。千客万来都市に大阪がなるには、やるべきことはたくさんある。=敬称略

(大阪経済部 上田志晃)

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