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関西新生、2025年へ息吹 万博・IR誘致 起爆剤

2017/6/20 2:30
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経済の地盤沈下が続いてきた関西が大きく変わろうとしている。2025年の国際博覧会(万博)やカジノを含む統合型リゾート(IR)の大阪誘致活動が本格化する。全国有数の観光資源を持つ関西ではインバウンド(訪日外国人)の増加が続いており、関西国際空港から大阪中心部を貫く鉄道新線の計画が進むほか、大型再開発も動き出した。20年の東京五輪後の日本の成長の一翼を関西が担う。

万博誘致ロゴを発表する(左から)世耕経産相、誘致委員会の榊原会長、松井大阪府知事

政府は2025年の国際博覧会(万博)の開催地について、博覧会国際事務局(BIE)に大阪の立候補を届け出た。18年秋の決定に向けてパリ、ロシア中部のエカテリンブルク、アゼルバイジャンの首都バクーと招致を競う。会場の人工島「夢洲」(ゆめしま、大阪市)はカジノを併設する統合型リゾート(IR)の誘致候補地でもあり、万博との一体開発で関西経済の再浮揚を狙う。

経団連や大阪府などで構成する招致委員会は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる。25年5月から6カ月開催し、人工知能(AI)や仮想現実(VR)など先端技術のショーケースにする計画だ。期間中は国内外から最大3千万人の入場者を見込む。

大阪府・市や経済3団体がまとめた「夢洲まちづくり構想案」によると、夢洲は3段階で整備する。第1期ではIRのほかにホテルや商業施設、国際会議場を誘致。IRは24年ごろの開業を予定する。夢洲の中心部を万博用地とし、終了後は跡地の一部を第2期としてIRの拡張やビジネス用地として活用する。第3期はリゾート施設にする構想だ。全て完成した時には年3千万人の集客を見込む。

関西では電機産業にかつての勢いはない。京都大学や大阪大学など先端医療の研究所や製薬会社が集積し、健康・医療を新産業に育てる動きが広がっている。その点で万博は技術力をアピールする絶好の機会となる。夢洲は08年大阪五輪の選手村の予定地だった。招致に敗れて負の遺産になったが、万博誘致に成功すれば「優良資産」になる。

ただ万博の会場建設費をどう捻出するかはまだ決まっていない。建設費1250億円を国と地元自治体、経済界が3分の1ずつ負担することで合意したが、民間負担の400億円強をどのように集めるか具体策はこれからだ。全国的に企業の参加を募るために誘致組織のトップに経団連の榊原定征会長を招いた。

05年の愛知万博では民間負担の一部に公営ギャンブルの収益を充てたほか、トヨタ自動車が全面的に支援した。関西ではトヨタのような大口スポンサーが見当たらない。夢洲全体のマスタープランを早急に描き、企業の投資がリターンとして返ってくる事業モデルの構築が求められている。

新たな動線続々 関空新線やリニアに期待

関西では人やモノの移動を支える鉄道や道路の新動脈の開発が続く。大阪中心部を南北に貫く鉄道新線「なにわ筋線」は2031年春の開業をめざし、リニア中央新幹線の名古屋―新大阪間や北陸新幹線の大阪延伸ルートも早期開業が期待される。道路網では新名神高速道路の高槻ジャンクション(JCT)―神戸JCT間が18年度に開通する予定で、物流施設の進出が相次いでいる。

なにわ筋線は大阪府・市、JR西日本、南海電気鉄道、阪急電鉄の5者が整備する。開業すれば、大阪から関西国際空港の所要時間が約20~25分短縮される。訪日外国人は難波周辺での滞在が多かったが、梅田方面に広がる可能性がある。一方、京都や神戸、大阪北部からの関空利用者も伸びそうだ。

大阪市中心部の再開発にも弾みが付きそうだ。なにわ筋線の途中駅、中之島駅(仮称)の近隣には再生医療の研究拠点や美術館などの開設が予定される。北梅田駅(仮称)は大阪駅北側に広がる約17ヘクタールの再開発プロジェクト「うめきた2期」地区の真下に建設予定だ。中之島やうめきた2期はいずれも海外企業との連携や研究者の誘致を掲げており、ビジネスや研究拠点の集積地になりそうだ。

万博誘致に成功すれば、会場となる夢洲へのアクセス整備の議論も本格化する。地下鉄やJRなどの延伸構想も具体化しそうだ。

一方、リニア中央新幹線の名古屋―新大阪間の開業は最大8年早まり、早ければ37年に前倒しされる。北陸新幹線も敦賀―新大阪間のルートが3月に決まり、46年ごろの開業をめざす。関西の経済界から早期開業を望む声が出ているが、経済効果への期待の大きさの裏返しでもある。

開発が進むのは鉄道だけではない。大津JCT(仮称)―神戸JCTを結ぶ新名神の沿線では物流施設の進出が続く。米物流施設大手のプロロジスは16年以降の10年間で関西の物流施設の新設に約1500億円を投じる。インターネット通販の拡大による物流需要の増加を見込み、積極投資を続ける。

大阪府茨木市の彩都(国際文化公園都市)には阪急電鉄と三菱地所が連携して、20年度以降に物流倉庫を建設する。資生堂が工場を新設するほか、三井不動産も大型物流施設を設置する計画だ。

梅田・中之島、再開発進む

大阪市の中心部では複数の再開発プロジェクトが進んでいる。大阪駅北側のうめきた2期地区は今年度中に開発事業者を決める事業コンペが始まる。中之島4丁目地区では再生医療拠点や演劇場などを整備する計画が練られている。ともに東京五輪後の2020年以降に相次ぎ開設する予定で、関西経済の起爆剤にする狙いだ。

うめきた2期は健康で豊かに暮らせる製品、サービス産業の育成を目指す「ライフデザイン・イノベーション」を開発テーマに掲げている。約17ヘクタールのうち4.5ヘクタールは都心部の貴重な緑を確保した公園にする計画だ。ただ中之島の再生医療を軸とした研究拠点とのすみ分けや連携の検討が必要と判断し、16年度の事業コンペの予定が今年度に先送りになった。23年春のまち開きは変わらない。

大阪大学医学部跡を含む中之島4丁目地区については、大阪府・市などが21年に再生医療の国際拠点を開設する方向で検討を進めている。再生医療拠点の近隣には美術館や演劇場など文化施設の計画もある。5丁目地区ではリーガロイヤルホテルの建て替えが五輪後に予定されている。市と地権者などが協議会を開いて検討しており、一帯は大きく姿を変えることになる。

JR大阪駅南側の梅田1丁目1番地では、22年の完成に向けて阪神百貨店梅田本店や近隣のオフィスビルの建て替え工事が進む。全国初の公道をまたぐ形のビルになる計画で、今年1月に道路上空部分の工事に着手した。大阪駅西側の大阪中央郵便局跡地には高層の大型複合ビルが建つ予定で、日本郵政とJR西日本が共同で再開発を検討中だ。

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