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技術革新、関西から シンポジウム「関西の未来」
森下氏「生命科学、集積が強み」 本村氏「AI、活用の好循環を」 尾崎氏「万博、新時代の実験場」

2017/5/15 2:30
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大阪商工会議所と日本経済新聞社は4月27日、シンポジウム「関西の未来」を大阪市の日本経済新聞社大阪本社で開いた。原英史・政策工房社長が「政府の成長戦略と大阪の役割」をテーマに基調講演した。パネル討論では森下竜一・大阪大学大学院医学系研究科教授、本村陽一・産業技術総合研究所首席研究員、尾崎裕・大商会頭(大阪ガス会長)が加わり、人工知能(AI)など先端技術を関西の成長にどう生かすか議論した。(本文敬称略、パネル討論のモデレーターは藤賀三雄・日本経済新聞社大阪本社編集局次長兼経済部長)

先端技術を生かした成長戦略について討論する(左から)尾崎氏、原氏、森下氏、本村氏(4月、大阪市中央区)

――「世界をリードする産業を大阪から」との思いで見てみると、まずライフサイエンス(生命科学)分野がある。

森下 関西はライフサイエンス事業の集積地だ。塩野義製薬田辺三菱製薬など製薬会社の本社もある。医療と親和性が高い企業も多く、エレクトロニクスなら例えばパナソニックも健康・医療に関連がある。そうした会社が集まっているのが関西の強みだ。

大阪商工会議所は「バイオビジネスコンペJAPAN」を開催している。大学の人たちが会社をつくるためのシーズ(種)を出し、それに対して実際に企業が参加して検討するものだが、多くの成果を生み出している。

京阪神3商工会議所によるライフサイエンス国際拠点形成プロジェクトがある。世界に通じる国際拠点を関西圏につくろうとするもので、医療機器、創薬、ヘルスケアの3分野をプラットフォーム(土台)とする。特に創薬で成果が出ている。

大商では企業のなかからシーズを切り出してベンチャー企業を設立する「カーブアウトベンチャー」を支援している。初案件として塩野義製薬からピオニエという創薬ベンチャーが実際に事業を始めている。

――あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」、人工知能(AI)の世界の潮流と大阪への期待は。

本村 現在のAIブームは3度目といわれる。これまでとの違いはビッグデータがある時代だということだ。システムが様々なことを学習する「ディープラーニング」というキーワードが普及していて、そのソフトウエアは無料でダウンロードできるほど公共化されている。IBMがAI型コンピューターの「ワトソン」、マイクロソフトがクラウド経由で情報技術(IT)インフラを提供する「アジュール」という形でコモディティー化が進んでいる。

グーグルなどは多くのユーザーのビッグデータが手に入るので性能が上がる好循環が働く。この仕組みに目を向けないと最先端の技術があっても不十分だ。この循環を回すには実証実験や社会実験を始めて、たくさんのユーザーに支持されることが重要だ。

そういった問題意識のなかでコンソーシアムを産業技術総合研究所の人工知能研究センターにつくり、大商に協力してもらって関西で活動を始めた。非常に幅広い業種のニーズとデータを集めて、先端的な技術と合わせていく。

――IoTなどの技術はあらゆる産業で不可欠になっていく。一方で大阪の強みはものづくりで、世界に通用する中小企業が集積している。

尾崎 本村先生が話したAIはコモディティー化していて、誰でも使える環境にあるという点は新鮮だ。中小企業を含めて「こんなところにも使える」ということが大切だ。

柔軟に発想できるような環境づくりも大事だ。ビッグデータが行政や企業と連携し、共有される世界だと「AIで何か見つかるかも」と発想する企業が増えてくるだろう。公的データをうまく使って仕事に結び付けられたら、活性化につながると思う。

――先日、アメリカでアップルが自動運転の領域に進出するという話があった。AIを使った自動運転の実用化では街中を実験場として提供することが大事になる。原先生の講演のなかで「サンドボックス」というキーワードが出てきた。

 サンドボックスは国家戦略特区の延長線上にあり、より自由度の高い実験場にすることだ。国家戦略特区では自動走行などを実験している。分かったことは特区の枠組みでも実験をするのは大変だ。海の上をドローンを飛ばして物を運ぼうとすると、その下を船が通る。船が通らないようにしていたら世界に取り残される。だからサンドボックスが必要だ。

世界では新しい交通システムとして、自動走行とライドシェア(相乗り)を組み合わせた試みがあり、そんな実験を大阪でやってみてもいい。

――自由度の高い地域として大阪で最適な場所を考えると臨海部の夢洲だと思う。そこに万博を誘致するのはうなずけるし、有効活用ができればいいと思う。

尾崎 関西、大阪には新しいことを試みる気質がある。チャンスがあれば「これは商売になるんと違うか」という発想がある。例えば、AIを使って万博にいつ行くのがいいのかなど様々な点で実験場にするという視点があってもいい。

シンポジウム「関西の未来」 大商と共同、今年度4回開催 AIの進展などで経済や社会環境が大きく変化する中、大阪・関西はどのような成長を描くべきか。目指すべき都市像や実現への道筋を探るため、日本経済新聞社と大阪商工会議所はシンポジウム「関西の未来」を2017年度に全4回開催します。

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