シャープ、旧本社地区ビル買い戻し 139億円

シャープは28日、3月にNTT都市開発に売却した大阪市内の旧本社地区にある田辺ビルを、同社から買い戻す契約を結んだと発表した。取得価額は約139億円で、売却時よりも1割程度上乗せしたもようだ。同ビルは営業部門などが使用していたが、買い戻し後は大阪市内の立地を生かし、最先端の技術開発や新たなビジネスモデルの創出拠点とする。2017年3月期の連結業績への影響は軽微という。
シャープは15年、再建計画の一環として本社地区の不動産売却を打ち出した。3月に田辺ビルをNTTグループの不動産会社のNTT都市開発に、通りをはさんで立つ旧本社ビルもニトリにそれぞれ売却した。現在シャープは本社を堺市に移転している。
旧本社地区のビルについては台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の副総裁で、シャープの社長に就いた戴正呉氏が4月のシャープと鴻海の共同会見で買い戻す意向を表明。交渉を続けてきた。
鴻海創業者の郭台銘董事長も、シャープの第2の創業の地である旧本社地区を重要視しており、買い戻しには郭董事長の意向も働いたとみられる。(大阪経済部 井沢真志)