2018年11月15日(木)

野菜も電気も豊作 ソーラー農場(ここに技あり)
京都府亀岡市

2016/9/6 6:00
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8月4日、京都府亀岡市の農村地帯。畑のど真ん中に出力538キロワットの太陽光発電所が出現した。総工費は1億3000万円。1736枚の太陽光パネルが生み出す電気を20年間、1キロワット時あたり32円で売電し、年間1600万円超の売電収入が得られる。約8年でもとがとれる計算だ。太陽光パネルの支柱は2.9メートルと2.5メートルで長い。その下を人間やトラクターが行き来して農作物を栽培する。

■風圧に強い支柱

空を覆うように設置された太陽光パネルの下で、野菜がすくすくと育つ

空を覆うように設置された太陽光パネルの下で、野菜がすくすくと育つ

光が強いほど植物の光合成は活発になるが、一定値を超えると頭打ちになる。その強さが植物によって異なる「光飽和点」で、それ以上の日射は農作物の生育に役立たない。太陽光パネルで一定量の日照を遮っても生育に大きな影響を及ぼさずに発電できる。農地における太陽光発電は農地法で規制されてきたが、農林水産省が2013年3月末に一時転用の条件付きで規制緩和し、可能になった。

施工にあたったアルバテック(大阪市)は簡便な基礎だが、支柱同士をつないで風圧に耐える力を高める独自の特許工法を採用した。「パネルをたくさん並べても風で飛びにくく、発電に有利」と同社の高木あゆみ社長(35)は説明する。

■放置竹林が堆肥

 この太陽光発電で年間256トンの二酸化炭素(CO2)を削減できる。農地には放置竹林の竹を焼いた炭を混ぜた堆肥を散布、炭素貯留の効果も持たせた。地球温暖化を防ぐクールな野菜(クールベジタブル)となり、日本クルベジ協会(大阪府茨木市)が発行する「クルベジ」の認証シールを貼って亀岡市内のスーパーに並ぶ。「売れ行きは好調で補充に追われる日もある」と同協会の柴田晃代表理事(63)は語る。シールは協賛する京都銀行の広告入り。農家はシール1枚あたり10円を広告代金の中から受け取る。

桂川孝裕亀岡市長(53)は「エコで亀岡市の農作物が魅力を増す仕組みはありがたい」と大歓迎。農地を提供した井上保治さん(46)は「農業だけで農家は存続が難しい時代だが、売電やクルベジとの組み合わせで道が開ける」と話す。現在はキャベツを作付けしているが、さらにアスパラガスやほうれん草など全部で23種類を試す予定だ。

文 編集委員 竹田忍

写真 三村幸作

〈カメラマンひとこと〉 畝にしゃがみ込んで見上げると、まるで巨大な屋根のようにずらりと並んだ太陽光パネル。スケールの大きさを伝えようと、広角レンズを付けてローアングルで構えた。パネルの隙間から太陽が顔をのぞかせた瞬間、まだ小さなキャベツの葉が青々と輝いた。

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