幸之助氏の哲学実るか パナソニック、「創業100年」で新製品

2017/8/24 16:54
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パナソニックは24日、来年3月に創業100周年を迎えるにあたって発売する13種類の家電製品を発表した。あらゆるものがネットにつながる「IoT」を活用し、スマートフォン(スマホ)で操作できる洗濯機などを秋から順次、販売する。1918年に松下幸之助氏が創業したパナソニック。最近では、国内シェアトップの家電メーカーという側面よりも、自動車や住宅関連事業に注力するなど変貌しつつある。次の100年をどう描くのか。

パナソニックの新製品発表会では松下幸之助氏(右上)のエピソードも紹介された=24日午後、東京都港区

パナソニックの新製品発表会では松下幸之助氏(右上)のエピソードも紹介された=24日午後、東京都港区

「Change for the Next 100」。こう題された24日の新製品発表会。「250年の長い年月をかけて『真の使命』をなし遂げる」といった幸之助氏の言葉や、家電製品を水道水のように広く行き渡らせるといった「水道哲学」が紹介された。25日から流す100周年記念商品のCMには幸之助氏も、自身がお気に入りだったという写真を使って登場する。

新しいキャッチコピー「Creative!」のシリーズとして出す13の100周年記念製品のうち、洗濯機は衣類の重さなどから洗剤や柔軟剤を自動で投入できるのが特徴。帰宅時間にあわせて洗濯が終わるようスマホで外部からも操作できる。ロボット掃除機は人工知能(AI)を進化させ、レーザーセンサーも搭載した。冷蔵庫やシェーバー、ホームベーカリーは国内だけでなく、海外でも展開する。大きな肉を丸ごと焼けるグリルといった新しい分野の製品も発売。全体的には共働き世帯向けの製品が多い。

同シリーズの製品は、2020年の東京五輪まで断続的に発売し、来年にも第2弾を発表する。発表会で同社の中島幸男常務執行役員は「次の100年は一つ一つの商品を磨き上げるとともに総合家電メーカーの強みを生かし、複数の商品の組み合わせで顧客の願いをかなえていく」と強調した。

第1回の創業記念式が開かれた1932年。松下幸之助氏は全社員の前で「水道のように(製品の)価格を安くしよう」と呼びかけた。68年の50周年の際には1人当たりの販売高を倍増する目標を掲げ、達成。90年の節目だった2008年には社名を松下電器産業からパナソニックに改め、グローバル化の推進を進めるなど、節目で変革してきた経緯がある。

プラズマテレビの失敗などで2013年3月期まで2期連続の巨額赤字を計上した同社は、その渦中で就任した津賀一宏社長が自動車と住宅というBtoB事業にカジを切り、業績を回復させてきた。連結売上高で約8兆円と、「大きくて古い会社」(幹部)となったパナソニック。ベンチャー企業として電気自動車業界を引っ張る米テスラ向けに車載電池を提供するなど、タッグを組む相手も変わってきた。今春には日本マイクロソフト前会長の樋口泰行氏を招へい。同氏がトップの企業向けシステムを扱う社内カンパニーは本社を大阪府門真市から東京に移す決断をした。

次の100年で、これまで築いた「家電メーカー」の殻をどう破っていくのか。住設機器なども手がける総合力を生かし、「家電を売って終わり」ではなく、IoTで有機的につなぎ、快適な住空間を提供していくのが1つの方向性だ。今回の100年モデル製品は、その一端を示したとも言えそうだが、幸之助翁が残した「広く行き渡らせられるか」の哲学を実践できるかが、次の100年を占うことになりそうだ。(飯山順)

■パナソニックは2018年に創業100周年を迎える
1918 大阪市で松下電気器具製作所として松下幸之助氏が創業。配線器具を製造開始
1927 ナショナルの商標を制定
1935 松下電器産業に改組
1949 東京証券取引所と大阪証券取引所に上場
1961 社長に松下正治氏が就任。幸之助氏は会長に
1989 幸之助氏が死去
2008 90周年を機に社名をパナソニックに変更
2011 パナソニック電工と三洋電機を完全子会社化
2012 現在の津賀一宏社長が就任
2018 100周年を迎える

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