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蚊取り線香 東欧にゆかり 害虫退治大作戦(1)
軌跡

2017/2/28 6:00
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ジカ熱、デング熱といった蚊が媒介するウイルス感染症が話題になり、蚊取り線香が再び注目されている。蚊取り線香をはじめ、関西には害虫を駆除する殺虫剤メーカーが多く、これまでに数多くのヒット商品を生み出してきた。

当初の蚊取り線香は棒状だった

大日本除虫菊創業者・上山英一郎氏

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蚊取り線香を発明したのは「金鳥」ブランドを展開する大日本除虫菊(大阪市)の創業者、上山英一郎氏だ。社名にもある除虫菊とは東欧のセルビアが原産の植物。花の部分にピレトリンという殺虫成分が含まれ、乾燥させてノミ取り粉としていた。

この除虫菊の種を手にした上山氏は当初、生家のある和歌山で栽培して輸出しようと考えていた。ところが火鉢に粉が入って出た煙によって蚊が落ちたことから蚊取り線香のアイデアが浮かんだという。

1890年の最初の蚊取り線香「金鳥香」を写真でみると、名前の由来がわかる。棒状で仏壇にそなえる線香そのものだからだ。ただ、棒状だと40分程度で消えてしまい、一晩持たない。試行錯誤を重ねて生まれたのが渦巻きの形状だ。ヘビがとぐろを巻く姿から着想したというが、実際に商品化にこぎ着けたのは1902年と10年あまりかかった。

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日本で発明された蚊取り線香は国内だけでなく、その後、海外でも大ヒット。大日本除虫菊の上山久史専務は「戦前は今の国に換算すれば80カ国くらいで売られていた」という。今では現地メーカーがそれぞれ蚊取り線香を製造販売しているが、かつての栄光は残っている。紀陽除虫菊(和歌山県海南市)の門脇孝文会長によると「フィリピンでは蚊取り線香のことを『カトール』と呼ぶこともある」という。

かつてカトールという製品が現地で大ヒットし、そのまま現地の言葉に取り込まれた。ベトナムでオートバイのことをホンダと呼ぶのと同じ現象が蚊取り線香でもあったのだ。

戦後、蚊取り線香は技術革新によって競合商品が次々と登場。マットタイプ、液体タイプと火を使わずに煙も出さず、より手軽に長時間、蚊を退治できる製品が出てきた。それでも蚊取り線香の人気は根強い。電源がないところでも、火を付ければ使える機動力は最近のアウトドアレジャー人気でも見直されている。

大阪経済部次長 永井伸雄が担当します。

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