2017年12月15日(金)

京女、Jリーグから世界の夢舞台へ(次代の創造手)
サッカー国際審判員 梶山芙紗子さん(37)

2015/3/26付
保存
共有
印刷
その他

■「選手落ち着かせ集中させたい」対話重ねて好試合を共演

 女子サッカー審判の「日本代表」として世界を目指すなでしこがいる。京都府出身の梶山芙紗子(37)は日本に4人いる国際サッカー連盟(FIFA)公認の女性国際主審の1人。6月のカナダ女子ワールドカップ(W杯)や1年後のリオデジャネイロ五輪で大役を射止めようと腕を磨く。

◎  ◎

 長身ですらりとした背格好。手を上げ下げする挙措一つとっても凜(りん)としている。審判は選手以上にダッシュを何本も繰り返すハードな仕事。15年近く選手としてプレーし、国体の京都選抜でもあった梶山には体力の素地もある。

男子の選手にまじってグラウンドを駆け回る梶山さん(京都府城陽市)

男子の選手にまじってグラウンドを駆け回る梶山さん(京都府城陽市)

 一歩ずつ階段を上がってきた。2011年11月に女性として初めてJリーグで審判員を務め(2部、第4審判)、日本フットボールリーグでも男子の試合の経験を積むと、14年にコスタリカで開かれた17歳以下(U―17)女子W杯の2試合で主審を任された。

 もともと京都は審判の名産地。地元クラブでコーチをする必要上、現役選手のころから最下級の審判資格を持っていた梶山は、早くから審判の諸先輩に目をかけられた。度重なる勧誘に心を動かされ、20代後半に本格的な転身を決意した。

 自分は選手だ。審判じゃない。そう思い、小遣い稼ぎに練習試合の笛を吹くことも忌避してきた。だが選手としては雲の上だったW杯に立つことが「審判なら可能かも、と考えた」。

 「今でもどちらかを選べと言われれば選手かな」と笑う。現役への未練は胸にしまい、自分が選手なら今どうしてほしいかと考えながら笛を吹く。ゲームを止めないよう、反則があってもすぐにはとがめない。

◎  ◎

 男子の試合で笛を吹くのが面白い。「ちょっと! ちゃんと(ラフプレーを)見てよ」「わかった、わかった」。熱くなった選手に詰め寄られるが、活発なやりとりに醍醐味を感じる。対話を重ね、一緒に試合をつくり上げる感触がある。

 初めて男子の高校総体で主審を務めたとき。「よく試合をコントロールできている。みなも見習うように」。めったに褒めないインストラクターに称賛され一人前になれた気がした。

 この春、W杯向けの“選考会”がポルトガルで開かれ、体力テストに汗を流した。合否が決するのはまだ先だが、ライバルはつわものぞろいと改めて知らされた。「スピードスケートの有望選手だったカナダ人もいる。みな体が大きくて俊敏。経験豊富で少々ミスしても切り替えが早い」。主審の座は狭き門だ。

 昨年のU―17女子W杯ではコンディションが整わず、5分で体が重くなった。「なぜ、と気持ちが揺らいで」試合を左右するプレーで判定ミス。「いいジャッジを続けても最後のワンプレーを見誤れば台無しになる」。その反省から常に心身ともに万全でいようと心がける。自分が道を切り開けば日本審判のレベル向上と女子サッカーの発展につながると信じる。

 「正しい判定を下すだけが審判ではない。選手を落ちつかせプレーに集中させるのがよいレフェリー」。そうやって選手の力が最大限引き出され好試合の共演者になれたとき、審判を選んでよかったと思う。世界の大舞台でもそれを体感するため、選手とともにボールを追い続ける。=敬称略

(大阪運動担当 岸名章友)

<ばっくぼーん>英語の勉強でリラックス
 朝は整形外科クリニックでリハビリの手伝い、昼はサッカースクール、夜は自分のトレーニング。息つく暇もない毎日で、一番のリラックス方法は勉強でしょうか。1時間ほど体があいたとき、カフェでのんびりコーヒーを飲みながら英語の勉強をするときが一番幸せな時間ですね。
 審判は英語でやりとりします。それなのに苦手で、昔の通信簿は「1」。ゼロからのスタートで格闘中です。でも外国人とスカイプで会話する講座などは楽しくて。文法やリーディングは苦手だから、レッスンでもよくしゃべる講師をつい選んでしまいます。海外で痛感しますが、みんな話すのが速い。そこに割って入れるようになりたいです。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報