ベンチャー集う街 大阪・西中島 組織つくりノウハウ共有(ひと最前線)
起業家、飛躍へ支え合う

2016/2/18 6:00
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 大阪・西中島を「起業の街」にしようと大阪のベンチャー起業家らが新たなコミュニティーを立ち上げた。IT(情報技術)ベンチャーが集積する米シリコンバレーや東京・渋谷のビットバレーにちなんで「にしなかバレー」と命名。約20社のベンチャーがお互いのノウハウを共有し成長をめざすほか、若者の起業支援にも乗り出した。

西中島を拠点に大阪のベンチャー企業の活性化に取り組む(左から)レシードの大江社長、アイプラグの中野社長、クロノスの山野副社長(大阪市淀川区)
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西中島を拠点に大阪のベンチャー企業の活性化に取り組む(左から)レシードの大江社長、アイプラグの中野社長、クロノスの山野副社長(大阪市淀川区)

 2月1日夕方、地下鉄御堂筋線西中島南方駅(大阪市淀川区)近くのカフェに5人の起業家が集まった。「起業を志す若者が集まるスペースをつくろう」「ベンチャーキャピタルを呼んで資金調達もしやすくしよう」。起業を盛り上げるアイデアを熱く語り合った。

 旗振り役は新卒採用支援会社アイプラグ(大阪市)社長の中野智哉(37)だ。中野は2012年に西中島で起業した。企業が学生をネットで勧誘できる採用システムを考案し、現在は約1300社が導入する。中野は自らの経験から「西中島はベンチャーの立ち上げに最適」と指摘する。

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 例えば家賃。3.3平方メートルあたりの賃料が月6千円のスモールオフィスや1部屋4万円のマンションオフィスがあり「立ち上げ費用が安い」(中野)。御堂筋線、阪急線南方駅、JR新大阪駅が徒歩圏内で、交通アクセスもいい。京阪神のどこからでも訪れやすく、パートの女性や学生などを集めやすい。新幹線で東京との往来にも便利だ。

 周辺には各種専門学校のほか、グロービス経営大学院の大阪校がある。実は中野、にしなかバレー副代表のウェブマーケティングのレシード(大阪市)社長の大江栄年(32)、IT教育のクロノス副社長の山野寛(38)は同校で経営学修士号(MBA)を学んでいる。大江は自社の従業員もグロービスに通わせており、人材育成を進めやすい。

 ITを中心に起業家が増える一方、これまでは横のつながりは乏しかった。そこで昨年夏、中野、大江、山野が中心となり「にしなかバレー」を発足させ、2カ月に1回、参加企業同士の交流会を開く。昨年10月には学生に起業ノウハウを伝授するイベントも開催。20人超の学生が参加した。

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 現在、参加企業は約20社。本社や創業の地が西中島になくても、西中島から半径2キロメートル以内に重要な事業拠点があれば受け入れる方針だ。介護施設運営のポラリス(兵庫県宝塚市)が西中島に人事本部を移すなどIT以外にも裾野が広がりつつあり、地元の金融機関も注目し始めた。

 すでに連携の効果は表れている。「西中島で起業したい。相談に乗ってもらえないか」――。昨年10月、20代の若者から中野の元にこんな依頼が舞い込んだ。起業家同士の結束も強まり、大江はにしなかバレーに参加する先輩起業家に資金調達の戦略を相談した。「社内外で話しにくいリアルな経営の悩みを解決していける」(中野)

 既存の経営者組織と違い売上高などの数値基準はなく、入会金も不要でスタートアップ企業も入りやすい。地元の不動産会社と西中島に起業家向けシェアオフィスをつくる計画も進めており、年内に50社に増やす考えだ。

 「先輩格」である渋谷のビットバレーはIT起業家が切磋琢磨(せっさたくま)し、サイバーエージェントなどメガベンチャーが生まれている。にしなかバレーは大阪の起業のゆりかごになりそうだ。

=敬称略

(大阪経済部 鈴木健二朗)

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