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千林~滝井~土居 駅間は400メートル台(謎解きクルーズ)

大大阪時代、駅も量産 人口増・病院開設…沿線住民の声反映

大阪と京都を結ぶ京阪電気鉄道。ある日、京都方面に向かう電車に乗っていると、京橋駅を過ぎて間もなく、かなり短い間隔で駅が並んでいる区間があるのに気付いた。京阪沿線で生まれ育った記者だが、普段は短時間で到着する急行や特急ばかり利用しているので意識していなかった。本線にこれほど短い間隔で駅が並ぶのは、関東などの大手私鉄では見たことがない。どうしてなのかを調べるため、現場に足を運んでみた。

京橋駅から普通電車で8分の滝井駅(守口市)。一駅先の土居駅(同)との駅間は418メートルと、関西の鉄道各社の本線では最も短い。これはあくまで駅の中心地点間の距離。ホームの端から端までの最短距離は159メートルしかなく、隣の駅の声が聞こえそうだ。

扉が閉まって電車が動き出してから、隣駅に到着して扉が開くまでの時間を手元の時計で計るとわずか54秒。400メートル男子の日本記録が44秒台なので、足の速い人なら走ってもそう変わらない。

滝井駅の1つ大阪寄りの千林駅(大阪市)と滝井駅の駅間も440メートルと、こちらもかなり短い。なぜ千林―滝井―土居区間はこれほど短いのか。答えを探すため、京阪電鉄本社を訪ねた。

「駅を造った当時は『大大阪』といわれるほど工業化が進み、人口増に伴って、駅を増やす必要があったためです」。社史の編集を担当した監査内部統制室部長の藤原進さんが教えてくれた。

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千林駅は京阪本線が開業した1910年に設置された(当時の名称は森小路駅)。千林駅前は大阪でも有数の商店街があり、かつてダイエーの1号店があった場所。当時から周辺住民が多く、にぎわっていた。その後、工業都市の大阪を目指して人口が流入。乗客の増加に対応するため、30年代に入って滝井駅、土居駅を相次いで開業した。

滝井駅の開業は31年。現在の関西医科大学附属滝井病院の最寄り駅として、病院の開業にあわせてできた。土居駅は32年の開業。滝井駅よりも周辺の人口が多く、設置を望む声が強かった。駅のために沿線の土地を寄付する運動もあったという。戦後の高度成長期には住民がさらに増え、ピークの66年には土居駅だけで1日2万人が利用したというから、これほど短い間隔でも駅は必要だったのだろう。

近年は住環境のよい地域へ人口が流出したほか、大阪市営地下鉄の谷町線や今里筋線が開通したため、3駅の乗降客は減少傾向が続く。昨年、最も少ない土居駅は1日あたり約5600人と、本線では鳥羽街道駅(約3500人)に次ぐ少なさだ。千林商店街の買い物客らが利用する千林駅(約8900人)、周辺に病院や学校がある滝井駅(約7000人)よりも少ない。

3つも駅は必要ないのではないか。そう聞いてみると藤原さんは「一定の乗客がおり土居駅の閉鎖はまったく考えていない」と言い切った。

親族の看病のため、ほぼ毎日土居駅を利用するという守口市在住の女性(67)は「足が悪いので駅が近いと助かる」と話す。土居駅と滝井駅の間を内環状線が横切っているため、土居駅周辺から滝井駅へは短時間で歩きにくいのだ。線路脇の歩道橋を使えば5分ほどで移動できるが、階段を避けて回り道すると倍近い時間がかかる。

昨年11月の調査によると、土居―滝井間だけを利用する乗降客が1日あたり23人いたそうだ。こういう地域住民たちのために、土居駅は必要なのだろう。

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いろいろ知ったところで、改めて普通電車に揺られて現場へ向かった。土居駅のホームからは滝井駅、千林駅はもちろん、さらに大阪寄りの森小路駅(大阪市)まで見える。「土居駅の大阪方面のホームは鉄道ファンの撮影スポットとして人気がありますよ」。淀屋橋・中之島―守口駅のエリア長である秋山茂久さんが教えてくれた。上下線それぞれ2本ある複々線で視界が開けているうえ、緩やかなカーブになっていて車両全体をきれいに撮影できるそうだ。

わずか約400メートルずつしか離れていない駅だが、それぞれに存在理由がある。たまにはのんびり普通電車に揺られ、風景を眺めるのも面白い。

(大阪経済部 世瀬周一郎)

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