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関西発

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企業の進出 一進一退 学術と文化の街を目指して(1)
軌跡

2014/10/15付
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京都、大阪、奈良の3府県にまたがる丘陵地で科学技術と文化を核とする街づくりが進んでいる。「けいはんな学研都市」は1994年に都市開きを宣言して20年。経済環境の激変を経ながらも研究・教育機関がじわじわと集積してきた。

2015年春の完成予定の「サントリーワールドリサーチセンター」(京都府精華町)

2015年春の完成予定の「サントリーワールドリサーチセンター」(京都府精華町)

「世界でもここでしかみられない、壮大な社会実験ではないだろうか」

都市整備の推進母体である関西文化学術研究都市推進機構の瀬渡比呂志常務理事は、けいはんな地域の取り組みをいつもこう紹介する。

クラスターと呼ぶ整備地区を行政区画を越えて複数配置し、民間主導で職住を含めて一体的に整備する。科学技術とともに学術文化の振興を目標に掲げる。国が主体となって科学技術の都市造りを進めた筑波研究学園都市とは、目的や手法が大きく異なる。

関西国際新空港と並ぶ二大プロジェクトとして構想が具体化する80年代を経て日本経済は不振に陥る。バブル経済の崩壊(89年)やリーマン・ショック(2008年)の逆風を受けながらも、研究・教育関連機関の新規進出件数は14年7月末時点で123施設に達した。

学研都市の中心地区である京都府精華町で久しぶりにつち音が響く。サントリーホールディングスが新しい研究開発拠点を建設中で、15年5月に完成する予定だ。大阪府島本町で3カ所に分散している研究開発拠点を集約し、約400人が勤務する。

域内にはバイオテクノロジー分野の研究で実績のある奈良先端科学技術大学院大学があり、16年には京都大学の農場が移転する。健康や環境など将来の事業に結びつく研究開発力を高めるのに絶好の場所と判断した。

瀬渡常務理事は「オンリーワンの技術をもつ企業が進出して学研都市のブランド力を高めている」と強調する。電磁波遮蔽フィルムで世界一のタツタ電線や伸縮管継ぎ手国内最大手の日本ニューロン、トランプの偽造防止技術をもつエンゼルプレイングカードなどが最近拠点を設け、地域は活気づいてきたという。

一方でNECはこの6月、中央研究所生駒拠点を閉鎖した。98年に進出して言語処理などの研究を続けてきたが、経営戦略見直しで川崎市にある中研への統合を決め、約30人が移った。学研都市の企業誘致はまだ一進一退が続く。

94年に現在の先端技術研究所を開所したパナソニックの丸野進理事・技監は「未来に向けた基盤を残せた意義は大きい」と話す。広く新技術をカバーする中央研究所を見直し、大学や異業種と連携するオープンイノベーション体制に移行するなかで、グループの研究陣を集約した。炭素材料や視覚情報処理など新事業にかかわる成果をあげ、役割を果たしている。

編集委員 永田好生が担当します。

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