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現代に残る共栄の精神 阪神間モダニズムの記憶(5)
軌跡

2014/12/13付
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阪神間のお金持ちには欧米流の寄付文化があった。灘五郷の一角を占め、清酒「白鹿」で知られる辰馬本家酒造(兵庫県西宮市)の13代辰馬吉左衛門はその一人。大正から昭和初期、西宮市に上下水道、庁舎、図書館の建設費を相次ぎ寄付している。

酒造家の寄付で造られた御影公会堂は今も現役だ

酒造家の寄付で造られた御影公会堂は今も現役だ

辰馬本家は日清戦争から第1次世界大戦にかけて海運業や株式投資でもうけ、当時の経済誌「ダイヤモンド」に「住友に次ぐ関西の大金持」と紹介されている。白鹿記念酒造博物館の館長代行、弾正原佐和さんは「利益を地域に還元し一緒に発展させたいという思いがあった」と語る。

御影町(現神戸市)には1933年(昭和8年)、白鶴酒造の嘉納治兵衛の寄付で御影公会堂ができている。西宮市の庁舎や図書館は建て替えられ、レリーフやステンドグラスが残る程度だが、御影公会堂は今も現役。阪神間では学校の多くも地元資本が造っている。

ただ大阪商業大学特任准教授の明尾圭造さんによると、最近は「相続税の問題もあり芦屋川周辺の大邸宅もこぢんまりしてきた」。老舗学研究の前川洋一郎さんは「住民は遺産・年金族と単身転勤族ばかりで新興企業家が少なくなった」と嘆く。資産があり恵まれていると、リスクを取らなくても心地よい生活を送れる。過去の遺産を使い切ったとき、阪神間モダニズムは記憶にとどめるだけのものになる。

(この項おわり)

次回は「『消費者守れ』情報発信」

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