2018年6月22日(金)

次世代薬、日本で原薬製造 東大発VB・塩野義など新会社

2017/8/7 15:36
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 東京大学発ベンチャーのペプチドリームは7日、塩野義製薬、積水化学工業と共同出資会社を設立すると発表した。新会社では低分子や抗体医薬に続く「ペプチド医薬品」と呼ばれる次世代医薬品の原薬を国内で製造する。国内をはじめ世界各国に輸出していく。中分子医薬品の原薬製造を日本発の新産業として成長させていく考えだ。

7日、会見するペプチドリームの窪田社長(中)と塩野義製薬の手代木社長(右)

 名称は「ペプチスター」で、9月1日付で本社と製造工場を大阪府摂津市の塩野義製薬の工場内に設置する。設立時はペプチドリームや塩野義、積水化学がそれぞれ33.3%程度出資する。今後はさらに増資などを繰り返す予定で、各社20%未満での出資比率に調整する。早ければ2019年7~9月ごろの工場稼働を予定する。

 同日、川崎市で記者会見したペプチドリームの窪田規一社長は「日本は医薬品に関して2兆円以上の輸入超過。日本で生まれた技術を海外に任せるばかりの現状は悔しい」と述べ、あえて日本で製造拠点を置くことにした理由を説明した。さらに「医薬品の原薬製造の市場は世界で5兆円とも言われる。ペプチスターでそのうち8割、売上高4兆円を目指したい」と将来の夢を語った。

 塩野義製薬の手代木功社長は「今回のペプチド医薬品の原薬製造会社が成功すれば、医薬品産業を輸出産業に転換することが可能になる」と語った。ペプチドリームと特殊なペプチドを使った医薬品候補も開発中で「臨床試験の準備も進めている。そのためにも大量製造の技術確立に協力したい」と経営面での相乗効果も見込む。

 一般的な医薬品にはコストが安い錠剤などの「低分子医薬品」や、薬効が高いが価格も高い「抗体医薬品」がある。現在、世界の医薬品売上高上位10位のうち半数以上が抗体医薬と呼ばれるたんぱく質の医薬品が占める。がん免疫薬「オプジーボ」も抗体医薬の一つだ。

 今回、ペプチドリームと塩野義製薬などが設立する新会社はペプチド医薬品の原料を製造する。ペプチド医薬品は低分子医薬品と抗体医薬品の中間となる中分子医薬品とも呼ばれ、抗体医薬より低コストで製造できるのが特徴で次世代の医薬品とされる。

 ペプチド医薬品は世界各国で研究開発が加速しているが、原薬の製造技術が難しく安定供給するノウハウの確立が重要となっている。ペプチド原薬を高精度で大量に合成する技術を持ったメーカーは現時点でほとんどないのが現状だった。

 ペプチドリームは環状構造を形成した多様なペプチドを一度に発生させる技術の特許を持っている。窪田社長は会見で「(ペプチドの)周辺技術の海外流出を防ぐためにも、オールジャパン体制で新会社を設立することが重要だ」と訴えた。まず低コストで大量製造技術を確立させ、ペプチド原薬の世界最大の製造受託会社に成長させたい考えだ。

 ペプチドリームは米ブリストル・マイヤーズスクイブや英グラクソ・スミスクライン、スイスのノバルティスなど製薬世界大手とも創薬研究の契約を締結している。国内においても田辺三菱製薬第一三共など複数の製薬企業と同様の契約を結んでいる。(高田倫志)

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