ミズノとNEDO、新材料を開発 超軽量クラブに応用も - 日本経済新聞
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ミズノとNEDO、新材料を開発 超軽量クラブに応用も

ミズノと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、カーボンナノチューブ(筒状炭素分子、CNT)を使った新たなスポーツ用品向けの素材を開発したと発表した。CNT表面に加工を加える一手間をかけることで、これまでも軽量である特徴からテニスラケットなどに使われてきた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)内にCNTを均等に混ぜ込むことに成功した。新しい素材は従来のCFRPに比べ13%衝撃に強くなり、従来のCFRP製のゴルフクラブより軽くできるという。

耐久度が増すことで材料の使用量を抑え軽量化が可能となる。今後、具体的な製品設計に入り2018年の製品化を目指す。今は持ち手部分のゴルフシャフトは30グラム台のものが最軽量の部類に入るが、新材料を使えば20グラム台の世界最軽量のゴルフシャフトの開発も理論上は可能に。また新材料でゴルフシャフトを軽量化すれば設計の自由度が高まり、例えば「従来製品と同じ重さだが、ゴルフボールが当たる面がより大きなゴルフクラブ」など特徴ある製品が生み出せる。ゴルフ愛好家の新しいクラブへの関心度は高く期待が高まりそうだ。

新しい素材はミズノとNEDOが2015年度までの2年間で共同開発を進めていた。従来、CNTを均一にCFRP内に混ぜ込むのが難しかった。均一に混ぜる技術で全体の強度が高まる。同日、東京都内で開いた記者会見ではミズノの樋口良司執行役員は「約2年の開発で大きな成果が出た。今後はゴルフのシャフト以外にもテニスラケットなどのスポーツ用品、そして産業用の一般部材にも応用できるよう開発をしていきたい」と意気込みを語った。ミズノはカーボン関連事業を5年後をめどに100億円規模の事業に育てたい考えだ。

CNTを使った素材開発は電子部品など各分野で進んでいる。両社は将来的には航空機や自動車の骨格部品などに新材料を活用したい考え。NEDOの吉木政行材料・ナノテクノロジー部長は「飛行機などの構造材料に利用できれば数十兆円の市場になることも予想される」と意欲を見せる。今後、新材料を大型化するにはCNT自体の長さを伸ばすなど新たな研究が必要となるというが、NEDOの試算では1400キログラムの自動車が新材料を使うと440キログラム軽量化でき年間約400万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減につながるという。自然環境保護のためにも両社は今後も新材料のさらなる進化を目指す考えだ。

(大阪経済部 林英樹)

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