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入会地との線引き難しく 歴史の遺物「財産区」(5)

軌跡

大阪府箕面市で10年ほど前、小野原地区の墓地や山林をめぐって住民訴訟があった。単純化すると財産区の土地か純粋な入会地かが争われた。どちらも元をたどれば共有地だが、入会地は私有、財産区だと公有の色合いが濃い。前者なら昔から住んでいる住民だけの財産で、後者だと新住民にも権利が生じる。

問題の土地は、市の区画整理事業の対象になったことで経済価値が生じた。入会地と判断した箕面市が旧住民と事業計画をまとめ、反発した新住民が市を提訴した。新住民は、ヒメボタルの生息地でもあった地域の自然環境を守りたかったという。大阪地裁は「財産区」との判決を下し、最終的に「財産区の土地を緑地として保全する」ことで和解した。新住民の主張が通った形だが「問題のある判決だった」と話す専門家もいる。

財産区と入会地の線引きは曖昧だ。市町村は登記簿などから判断するが地域で温度差が大きい。大阪府には660もの財産区があるのに北海道や鹿児島県はゼロ。兵庫県の旧住吉村(神戸市東灘区)では一般財団法人住吉学園が財産区的な役割を果たしつつ、より手広く活動している。

コモンズ(共有地)を適切に管理できることを明らかにし、ノーベル経済学賞を受賞したオストロム氏は日本の入会から着想を得たという。財産区の透明性を高め部外者にも開かれれば、存在意義は残るだろう。(この項おわり)

次回は「中国書画の宝庫」

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