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食で日本文化の体験提供 がんこフードサービス 小嶋淳司会長

2016/10/18 3:30
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インバウンド(訪日外国人)の嗜好が「モノ」から「コト」へと変わりつつある。旅先での食事も大きな「体験」の1つ。関西の和食チェーンの代表銘柄であるがんこフードサービス(大阪市)の小嶋淳司会長に現状と今後の戦略などを聞いた。

■欧米の観光客も関心

――インバウンドの食の好みや観光コースが多様化しています。

がんこフードサービスの小嶋淳司会長

がんこフードサービスの小嶋淳司会長

「日本を訪れるインバウンドの消費行動が成熟してきた証拠だ。これまで彼らは『おいしくて健康、日本人の長寿の源』として日本料理に着目していたが、その料理を生み出した日本文化自体に興味を持つようになってきた。観光コースにも変化は表れている。これまで大阪市内はアジア系の観光客が多かったが、京都の神社や仏閣を巡っていた欧米の観光客にも、庶民の生活文化を育む場としての大阪を訪れてみる人が増えているようだ」

――外食は小売業ほどインバウンドの恩恵を享受できていないように感じます。

「人数が多い団体ツアー客は食事に対する消費額が小さく、料理のコースも限られている場合が多い。個人の外国人観光客が増えるのは外食にとっては大きなチャンスだ。ツアー客に対して食事場所を提供するだけでは値下げ競争に陥ってしまう。これからは料理を通して日本文化を体験してもらうように努めなくてはいけない。外食も『モノからコト』への転換が必要だ」

――外食が提供できる「体験」とは何でしょうか。

「自分の食べる料理に、どのような価値があるのかを教えることだ。(地域で生産した)地のものや季節の食材と、それに合わせた調理法という日本の伝統を知り、味わうことが体験になる。外国語メニューは浸透してきたが、使っている食材が旬の食材であるとか、伝統的な京野菜であるといった説明などはあまり見かけない。つたない言葉でよいから食材の価値や調理法の説明が必要だろう」

「体験の重要性はインバウンドに限ったことではない。インバウンド向けの料理を出すとか、専用の店を設けるといった動きもあるが、日本人が海外で同様の対応をされたらその国のリピーターになりたいとは思わないだろう。日本人に接するのと同じように外国人観光客に対応しなくてはいけない」

■細かな対応生きてくる

――個人客が増えることで、対応面で最近気づいたことはありますか。

「『食べたくないものも提供されてしまう』という声がある。コースは様々な料理が組み込まれているから、好みでないものも交ざっている場合があるということだ。どのような料理であるかを説明し、必要なら別のメニューに差し替えて対応している」

「季節で異なる内装のしつらえや食材、メニュー説明や差し替えといった細かな対応は外食業界が日ごろ取り組んでいる得意分野だ。インバウンドの多様化によって中小の飲食店や個人店にもチャンスが広がるだろう」

――関西のインバウンド観光の課題は何ですか。

「エンターテインメントや観光資源をつなぐインフラ整備が必要だ。宝塚歌劇団やOSK日本歌劇団、日本舞踊など素晴らしいものがそろっているが、食事やほかの観光と組み合わせがしづらく、関西国際空港からのアクセスも時間がかかる。短期間での陸路の整備が難しいなら、大阪市内に大阪の文化を体験できる拠点を整備することも選択肢だと思う」

「爆買いの鈍化がインバウンドそのものの鈍化のように捉える向きもある。だが、百貨店など小売店にとっても本当のインバウンド需要はこれからだ。細かな対応やサービスといった日本のサービス業が本来持っている個別対応力が生きてくるだろう」

(聞き手は大阪経済部 大淵将一)

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