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資金洗浄、外国人が暗躍 摘発4年で2倍増

2017/4/4 2:09
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日本在住の外国人によるマネーロンダリング(資金洗浄)事件が増えており、各警察が警戒を強めている。国外の組織と連携し犯罪収益を日本で引き出す事例が相次ぎ、警察の摘発件数は4年で倍増。取引関係の書類を偽造するなど、銀行側の監視の目を欺く巧妙な手口も確認された。専門家は「国と金融業界が協力して対策を講じる必要がある」と指摘する。

「詐欺の手伝いだと途中から分かっていた」。ナイジェリア国籍の男(46)は3月、大阪地裁の法廷で肩を落とした。約14億円の犯罪収益を資金洗浄したとして府警が昨年摘発した、日本在住のナイジェリア人中心のグループの1人。男は組織犯罪処罰法違反罪などで懲役4年6月の実刑判決を受けた。

捜査で判明した手口は複雑だ。国外の"主犯格"らは、取引先をかたって企業経営者らをだます「ビジネスメール詐欺」の手口で欧米などの企業に送金を要求。送金先として日本在住の男らがあらかじめ銀行や信用金庫に開設した数十の口座を指定していた。

男らは偽造した貿易取引書類をファクスなどで口座がある銀行に送信。その後に窓口を訪れ、振り込まれた現金は輸出する商品の代金を事前に受け取る「前受け金」と説明し、全額を引き出していた。商品の名目は詐欺のメールの内容に合わせ、ホームシアターや自動車部品などと記していたという。

国際的な要請を受けて国は資金洗浄対策を段階的に強化。2013年4月からは200万円以上の資金を引き出す場合、金融機関が取引内容についても確認するようになった。今回の事件でも、口座が使われた約20の銀行や信金の窓口職員は本人確認をし、送金の趣旨についても男らに口頭で説明を求めていた。

しかし、各口座からは14~15年に約70回、多額の犯罪収益が引き出され、金の行方は分かっていない。日本では大企業だけでなく様々な業種や規模の中小企業が海外と取引しており、犯罪集団からは取引を装った送金を紛れ込ませやすいと見られているようだ。

ある銀行の担当者は「提示された書類や口頭の説明内容に不審な点は見られなかった。これほど周到に準備されると資金洗浄と見抜くことは難しい」と漏らす。

警察庁によると、組織犯罪処罰法違反罪で16年に摘発した資金洗浄事件のうち、外国人によるものは35件で全体の1割を占め、12年(17件)と比べて倍増した。昨年は宮崎県警も米国の詐欺事件の犯罪収益を引き出したとされるナイジェリア人を摘発するなど、外国人の犯罪グループの暗躍が目立つ。

資金洗浄対策に詳しい久保田隆・早稲田大教授(国際金融法)は「資金洗浄の手口は刻々と変化し、個々の金融機関が不正がないかどうかを調べ尽くすことはコスト面からも難しい。国や警察、金融業界が協力し、各銀行が実態に合った対策をとれる仕組みをつくることが重要だ」と話す。

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