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祭り、警備費に泣く 頼みの綱はクラウドファンディング
天神祭や祇園祭、人件費重く

2017/5/31 17:00
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関西の夏の風物詩、大阪の天神祭や京都の祇園祭で、主催者らが警備費の高騰に苦心している。見物客の誘導のため多くの警備員が必要だが、人件費の上昇などで運営を圧迫。インターネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)に活路を求める。ただ寄付が集まるかは不透明で、専門家は「費用を確実に集められる仕組みも必要」と指摘する。

クラウドファンディングで天神祭の運営費を募る大阪天満宮(大阪市北区)

天神祭の花火と船渡御(2016年7月)

「存続の危機にあります」。天神祭を主催する大阪天満宮(大阪市北区)は21日、CFのサイトで運営費の寄付を募り、窮状を訴えた。

例年7月、大阪市中心部の大川を船が行き来する「船渡御(ふなとぎょ)」や、数千発の奉納花火を目当てに約130万人が訪れる天神祭。2日間の期間中、見物客の誘導のため、大川の両岸や橋などに最大約700人の警備員を配置するが、近年は警備業界の人手不足のため人件費が高騰。2016年の警備費は、5年前と比べ約1千万円多い約3600万円に上った。

大阪天満宮によると、年間数百万円あった行政からの助成金は09年から減少。企業の本社流出や中小企業を取り巻く経営環境の悪化を背景に、協賛企業の撤退も相次ぐ。祭りの運営は08年から赤字が続き、累積赤字は約3400万円に達した。

大阪天満宮は3年前からCFを活用。31日午前までに集まった金額は6万7000円にとどまる。万力康司・権禰宜(ごんねぎ)は「打ち上げ花火の数を減らすなどして費用を削減してきた。千年の歴史がある祭りの規模は縮小傾向にある」と話す。

京都・祇園祭の山鉾(やまほこ)行事を運営する公益財団法人・祇園祭山鉾連合会(京都市)も5月、初めてCFを行った。14年から混雑緩和などを理由に祭りの華とされる山鉾巡行を2回に分けたことから、主要行事の開催期間がかつての倍の約2週間に延長。警備費も倍増し、14年以降は3千万円を超えた。

31日時点で目標の300万円を大幅に上回る1207万円が集まり、同会の山口敬一事務局長(68)は「ありがたい支援」とほっと胸をなで下ろす。

イベントの安全対策は兵庫県明石市で11人が死亡した歩道橋事故を教訓に見直されてきたが、13年に京都府福知山市の花火大会で露店が爆発し3人が死亡するなど事故が後を絶たない。伝統の祭りなどでは外国人観光客の増加も混雑に拍車を掛けているとみられ、主催関係者からは「事故の未然防止に向けた十分な警備態勢が求められるが、費用のやりくりが難しい」との声が多く聞かれる。

関西大社会安全学部の川口寿裕教授(群集安全学)は「祭りなどの安全対策費用を主催者だけでまかなうのは限界がある。見物客らに一部を負担してもらうなど、費用を確実に集められる仕組みも検討すべきだ」と指摘している。

目標額獲得、ライバル多く 「心動かす仕掛けを」

祭りの運営費を確保しようと各地でクラウドファンディング(CF)の利用が広がるが、必要額が集まるとは限らない。大阪天満宮のCFでは3年前の初年度こそ目標額の250万円を集めたものの、昨年は約90万円で目標(200万円)に到達しなかった。

自治体などが多く活用するCFサイト「FAAVO(ファーボ)」の運営会社によると、「祭」と名の付く資金募集は2012年6月から今年5月までに173団体が企画し、目標額を集めたのは109団体(63%)だった。

同社担当者は「サイトに掲載するだけではお金は集まらない。見た人の心を動かす企画力や強いメッセージ性が必要だ」と話している。

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