臍帯血販売業者ら逮捕へ、無届け投与に関与疑い 4府県警
全国の民間クリニックが他人の臍帯血(さいたいけつ)を国に無届けで投与していた問題で、愛媛など4府県警の合同捜査本部が、再生医療安全性確保法違反の疑いで、茨城県つくば市の臍帯血販売業者ら数人を近く逮捕する方針を固めたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。投与に関わった医師についても同容疑で刑事責任を調べている。
捜査本部は、つくば市の業者が福岡市の医療関連会社や京都市のクリニックに臍帯血を販売、少なくともこの2者から全国の複数のクリニックに流出し、無届けの投与を促した可能性もあるとみて捜査。昨年以降、同法違反容疑で松山市の医療法人「大手町クリニック」など複数のクリニックを家宅捜索している。
また捜査本部は今年7月、医師ではないのに血液検査や診断をし、許可なく医薬品を販売したとして、医師法違反容疑などで健康食品販売会社を実質的に経営する松山市の民間研究所理事長(同法違反罪などで起訴)を逮捕した。京都市のクリニックに臍帯血を使った治療を求める患者を紹介した疑いがあるとみて、関連を調べていた。
厚労省は5~6月、美容効果やがん治療などをうたい、無届けで投与したとして東京都や大阪市、松山市、福岡市の計12クリニックに治療の一時停止を命じた。日本再生医療学会は、治療内容や健康被害の有無などを調査するとしている。
厚労省は、臍帯血を白血病など特定の治療に使う際は原則届け出不要としている。一方、関係者によると、美容目的で無届け使用されている実態もある。
厚労省によると、再生医療安全性確保法は2014年に施行。効果や安全性がはっきりしない診療に歯止めをかけ、再生医療の信頼性を高めるために、審査や届け出を義務化した。
同法は、再生医療を行う際は治療の提供計画を提出した上で、専門委員会の審査を受けなければならないと規定。無届けでの治療は有効性や安全性を検証できないため、同省は問題視している。〔共同〕