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聖地2つ 天智帝ゆかり 近江神宮(時の回廊)
大津市

2017/9/28 17:00
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667年、天智天皇は奈良・飛鳥から近江大津宮(おうみおおつのみや)に遷都した。そして当地で官制の整備など律令制の基礎となる施策を実行したものの崩御、壬申(じんしん)の乱などで大津宮はわずか5年余りで廃都となった。「夢の跡」には今、近江神宮(大津市)が立つ。

■かるた必勝祈願

棟続きの回廊が取り囲む近江造の本殿と拝殿

棟続きの回廊が取り囲む近江造の本殿と拝殿

天智天皇を祭神とする近江神宮は宇佐山の麓、約19万平方メートルの壮大な森の中にたたずむ。創建は1940年で、明治神宮(東京・渋谷)や橿原神宮(奈良県橿原市)と並び、明治時代以降の代表的な神社建築の一つだ。

本殿と内拝殿、外拝殿を回廊が取り巻くように結び、本殿と内拝殿を「登廊(のぼりろう)」で結ぶ「近江造(おうみつくり)」と呼ばれる独特の神社建築で、社殿は登録有形文化財に指定されている。

神宮創建当時、大津宮の所在地は大津市内でいくつかの候補地が唱えられていた。74年の発掘調査で近隣の錦織地区で門跡の柱穴が見つかり、大津宮の遺構と断定。神宮が大津宮があった場所のそばに立つことが偶然明らかになった。岩崎謙治禰宜(ねぎ)は「天智天皇のおはからいでしょう」と感慨深げだ。

重厚な印象の拝殿と対照的に、楼門は鮮やかな朱色に塗られている。コントラストが印象的だが、この景観も偶然がつくり出した。もともとは拝殿と同じ白木だった楼門を、53年に半焼し補修・再建した際、「こげた箇所を隠す意味もあって朱色にした」(岩崎禰宜)という。

鮮やかな朱色の楼門

鮮やかな朱色の楼門

境内を歩くと若い参拝者が目立つ。お目当ては「かるた」だ。天智天皇が百人一首の第1首を詠んだことに由来し、近江神宮は「かるたの聖地」。1月の競技かるたの名人位・クイーン位戦をはじめとして、夏の高校生、大学生選手権が境内にある近江勧学館で開催される。

かるたが描かれた絵馬もあり、各種大会が近づくと、必勝願いを込めて奉納する人が後を絶たない。競技かるたを題材にした漫画「ちはやふる」の人気も後押しし、年間参拝者は約50万人と3年前に比べて2割ほど増えたという。

■日本初の水時計

もう一つ、「時計の聖地」でもあるという。天智天皇が日本で初めて漏刻を設置し、時を知らしたことにちなむ。境内の一角にはスイスの時計メーカー、オメガの総代理店が64年に奉納した「漏刻」がある。

漏刻は今でいう水時計のこと。仕組みはシンプルで、4段の石造りの水槽の上段から順々に水が落ちる。最下段の水槽に水が入り、量が増えるに従って、矢が浮き上がる。矢に刻んだ目盛りを読むことで、時を知ることができる。

このほか、日時計や紐(ひも)が燃えて切れ、時を知ることのできる火時計なども置かれている。こうした古い時計を通じて、人と時の関わりについても学べる。

大津宮で国のあり方の理想を探った天智天皇。今年はちょうど遷都1350年にあたり、その思いが改めてしのばれる。

文 大津支局長 橋立敬生

写真 大岡敦

 《交通・ガイド》京阪石山坂本線の近江神宮前駅から徒歩約10分。参拝時間は午前6時から午後6時まで。参拝無料。
 《かるたなりきり体験》羽織るだけで着られる模擬十二単(ひとえ)が用意され、金屏風の前で扇などの小道具を持ちながら、絵札さながらの撮影ができる。完全予約制で料金は1人30分1000円(近江神宮衣裳(いしょう)部まで)。祝日以外の月曜定休。

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