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関西発

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丹鉄に響く地元の音色 駅や車内のBGM
湧き水・砂浜…作曲家「安らぎを」

2017/7/1 15:22
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近畿地方北部を走る京都丹後鉄道(丹鉄)の駅や車内で、独自のBGMが流れている。手掛けたのは地元出身の作曲家。高校までの18年間利用した恩返しの思いを込めた。駅ホームの「駅メロ」は全国に広がるが、鉄道全体の「音空間」を総合的に創り出すのは珍しいという。

丹鉄のメロディーを製作した京都精華大の小松教授

丹鉄のメロディーを製作した京都精華大の小松教授

「チョロチョロ」と湧く水や「キュッ、キュッ」と鳴る砂浜、丹後ちりめんの織機音――。丹鉄は宮津駅(京都府宮津市)を中心に京都府や兵庫県の北部を走る3路線。駅や待合室、列車内で3月から順次、それぞれの路線イメージに合わせた音楽が流れ始めた。

宮津駅の待合室で流れる曲について、天橋立観光協会の中島明事務局長は「松林を抜け、さわやかな海の潮風が吹き抜けるこの地域のイメージにぴったり合う」とコメント。「静まりかえっていた待合室が、旅行疲れの観光客を癒やす場にがらりと変わった」と話す。

沿線で聞こえてくる音を自ら録音し、メロディーに取り入れて作曲したのは、京都精華大の小松正史教授(46、音響心理学)。宮津市出身の小松さんは「鉄道は京都や大阪など希望に満ちた都会への入り口だった」と振り返る。京都精華大に赴任後に本格的に音楽活動を開始、河瀬直美監督の映画などに楽曲提供するなど演奏や作曲活動をしてきた。

昨年7月、演奏会を訪れた丹鉄関係者が観光列車のメロディー製作を小松さんに依頼。小松さんは列車や駅のホームなど鉄道全体で流れる音楽を総合的にプロデュースすることを「逆提案」。地元への恩返しとして無償で引き受け、作曲から演奏までを1人で行った。

小松さんは「ローカル線は本数が少なく、待ち時間が長い。待つ間もメロディーを聴いて旅への思いを膨らませたり、安らいだりできる空間になれば」と話す。

丹鉄の前身は北近畿タンゴ鉄道。第三セクターが運営する全国最大の赤字路線だったが、2015年、高速バス大手のウィラーが経営を引き継いだ。運営会社のウィラートレインズの担当者は「音楽に興味を持ってもらい、多くの人に利用してもらいたい」と期待する。

大阪学院大の中山嘉彦教授(鉄道技術史)は「待合室を含めてメロディーを総合的に創作する取り組みは全国的にも珍しい」と指摘。「観光客などに良いイメージで帰ってもらえることは、地域おこしにつながる」と話している。

■「駅メロ」 関西が先駆け

ホームでの列車の接近や発車を知らせる「駅メロディー」(駅メロ)は全国に広がる。

1960年代後半から70年代前半にかけて近畿日本鉄道や京阪電気鉄道が導入したのが先駆けとされ、首都圏ではJR東日本が89年に新宿駅などで採用した。

当初はオリジナルのメロディーが多かったが、近年はその地にゆかりのある歌謡曲や映画主題歌、企業のCMなどで流れる「サウンドロゴ」を取り入れるケースも増えている。

関西ではJR西日本が2014年から順次、大阪環状線の全駅に駅ごとのイメージに合わせたメロディーを取り入れたほか、京阪では主要18駅で流れる駅メロを全4曲につながるよう作曲するなど各社が工夫を凝らす。

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