「小さな宝島」の魅力配信 大阪港 街づくりの夢(6)
軌跡
「大阪港の小さな宝島」。こんなキャッチフレーズで大阪市港区の築港・天保山地区の魅力を再発見・創造していこうという活動が始まっている。天保山は江戸期に安治川をしゅんせつした土砂で作られ、航行の安全のための高灯籠が置かれた。明治期には大規模な工事で近代的な港がここにつくられた。周囲を海に囲まれた六角形のエリアには歴史をうかがわせる施設やスポットが多くある。

ただ、施設としては年間200万人を集める海遊館が突出し、港住吉神社や築港赤レンガ倉庫、夕日が美しい中央突堤など少し離れた名所との回遊性をいかに作り出すかが課題になっていた。2014年に区役所や企業、地域団体が連携して検討会(港町エンジン会議)を設け、共通ロゴマークやガイドブックの作製などに取り組んできた。
訪日外国人観光客のクルーズ船入港も増えているが、観光バスですぐに京都や奈良に行ってしまうことも多い。現在、地域の将来を描くまちづくり計画を策定しており、大阪城やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と並ぶ、大阪を代表する観光地にするための議論が進んでいる。
「訪れたい街」だけでなく、「住みたい街」にする取り組みも動き始めている。企業や商店街などで地域活動をしてきた関係者が、行政主導だった「天保山まつり」を住民主体の運営に変え、昨年には一般社団法人・港まちづくり協議会大阪を設立して地域活性化事業を展開している。
事務局長の松本英之さんは「港町というと神戸や横浜で、大阪の印象は薄い。イベント展開から入り、いずれは地域をブランド化し、若者が稼げる街にしたい。港区だけでなく広域での連携が必要。大阪が元気になるかどうかは港町の復活にかかっている」と話す。