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ごみ受け入れと開発 背反 大阪港 街づくりの夢(5)

軌跡

港湾の埋め立ては基本的に一石二鳥の事業である。使われるのは、航路確保や防災のために川をしゅんせつした土砂や公共工事で発生する土砂、さらに一般・産業廃棄物だ。処分しなければならないものを"資源"にして土地を造成する。生まれる土地は広大で、既成の市街地と違って制約も少ない。内陸に活用できる土地が少ない大阪が将来の発展の夢をベイエリアの埋め立て地に描くのは必然だったと言える。

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夢洲を視察する万博基本構想検討委員会のメンバー。後方にコンテナターミナルのクレーンが立ち並ぶ

390ヘクタールある夢洲も廃棄物や港内に堆積した汚泥、大阪市発注の公共工事の残土などで埋め立てられてきた。夢洲の街づくりは、住宅や先端産業の集積を目指すテクノポート計画の頓挫や五輪招致の失敗で長く明確な方向が定まらなかったが、大阪府・市や経済界は昨年、国際会議や大規模見本市といったMICE機能を持つ世界的な観光拠点にする構想を打ち出した。

カジノを中心とした統合型リゾート(IR)の誘致を想定し、関連法案が成立すれば動きが本格化する。また、2025年の国際博覧会(万博)の開催候補地になったことで、舞洲の土地造成やインフラ整備は加速する可能性が出てきた。

ただ、夢洲には廃棄物などの受け入れ地と開発地という二面性があり、悩ましい問題も生ずる。資金を投じて埋め立てを加速すれば開発はしやすくなるが、造成単価も高くなる。受け入れ地としての"寿命"も短くなり、他の受け入れ先を探さねばならない。

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大阪市の公共残土は1997年度には年間200万立方メートル近くあったが、公共事業の減少などで近年は10分の1くらいにまで激減している。このため、市は夢洲での受け入れは2032年度まで可能とみていた。万博・IRの誘致が実現すれば、埋め立ての一部前倒しで、別の「受け入れ地」が必要になる。廃棄物については、関西広域の廃棄物を埋め立てている大阪湾フェニックス計画に将来影響してくる可能性もある。「立場や携わる仕事によって、期待もあれば懸念もある」と大阪市の担当者は語る。

夢洲の東側では既に国際物流拠点の整備が進んでいる。一石二鳥の土地造成で、世界的な観光拠点づくりと合わせた二兎(と)を追う開発になる。様々な性格のゾーンがうまく並立していけるかどうか、今後の戦略が問われそうだ。

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