7月参院選、1票の格差「違憲状態」 広島高裁支部
無効請求は棄却
「1票の格差」が最大3.08倍だった7月の参院選は違憲として、升永英俊弁護士らのグループが岡山選挙区の選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決で、広島高裁岡山支部(松本清隆裁判長)は14日、選挙区の定数配分は投票価値が著しく不平等な「違憲状態」と判断した。その上で、国会の裁量を認めて選挙結果は有効とし、原告側の請求を棄却した。
7月の参院選を巡り、升永弁護士と山口邦明弁護士の2グループが全国の高裁・支部に起こした計16件の同種訴訟のうち最初の判決。判決は11月8日の名古屋高裁まで順次言い渡される。
最高裁大法廷は2014年11月、最大格差4.77倍だった13年参院選を「違憲状態」と判断。「都道府県単位の区割り方式を改めるなど、現行の選挙制度自体を見直して不平等状態を解消する必要がある」と指摘した。
国会はその後、島根と鳥取、高知と徳島の2選挙区を合区するなど定数の「10増10減」を行い、最大格差は3.08倍に縮小した。今回の訴訟はこうした国会の取り組みへの評価が焦点だった。
原告側は「各選挙区の定数は人口に比例した配分になっておらず、憲法が保障する選挙権の平等に反する」と主張。「是正のための合理的期間も既に過ぎており、選挙を無効とすべきだ」と求めた。
これに対し、被告の岡山県選挙管理委員会側は「合区により都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを改め、格差も大幅に縮小された」と反論。「定数配分が著しい不平等状態に至っていたとはいえない」として請求棄却を求めていた。