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平林地区 産業変化に翻弄 大阪港 街づくりの夢(2)

軌跡

港湾や都市基盤の整備と産業の盛衰にはタイムラグがある。産業振興を目指しつくっても、時代に合わなくなり、活用されなくなる施設もある。大阪市住之江区の平林地区はそんな変化に翻弄されてきた地域だ。

平林地区に広がる貯木池(14年10月撮影)

戦前にできた埋め立て地だが、農地にも工業用地にも利用されず、戦時中は高射砲を据える軍用地になっていた。戦後は復興や高潮防災をはかる大阪市の区画整理事業で、大正区に散在していた貯木場や製材工場を移転する用地となり、輸入材の丸太を浮かべる貯木池が昭和20年代から40年代にかけて6カ所造られた。

高度成長に伴う住宅建築の増加を受け、一帯は近畿全体に木材を供給する木材団地として発展した。昭和40年代の空撮写真を見ると、各貯木池には水面が見えないくらい丸太があふれている。しかし、原木輸出の規制強化で外材輸入は加工した半製品中心になり、木造住宅も減ったため、約70社あった企業は3社にまで激減し、木材団地の機能は衰退してしまった。平成以降の空撮写真では、貯木池の丸太はなくなっていき、水面全体が写っている。

池を埋め立てれば事業用地にすることが可能だが、大量の土砂が必要になる。池の土地を所有する千島土地(大阪市住之江区)は採算が合わないため、事業化は困難とみていた。

事態が動いたのは2008年。近隣の阪神高速道路大和川線の建設で発生する土砂を使って低コストで埋め立てる計画が立案されたのだ。千島土地などが会社を設立し、全国2例目の民間による埋め立て・区画整理事業が行われている。

約90年の間に、海→埋め立てて土地造成→掘削して池造り→再度埋め立て、が繰り返された。事業会社社長の本庄純夫さんは「時代の先を見通した基盤整備は本当に難しい」と語る。

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