2019年9月20日(金)

「緑のオーナー」、国の説明義務違反一部認める 大阪地裁

2014/10/9付
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国有林育成のため出資を募り、9割以上が元本割れした林野庁の「緑のオーナー制度」を巡り、「リスクの説明が不十分なまま契約させられた」として、全国の出資者240人が総額約5億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(阪本勝裁判長)は9日、国の責任を一部認め、85人に対し約9千万円の賠償を命じた。同制度を巡る司法判断は初めて。

緑のオーナー制度は、林野庁が個人や団体から1口50万円(一部は25万円)で出資を募り、国と出資者が国有林を共同保有する制度。1984~99年、4600カ所の森林について延べ8万6千人と出資契約が結ばれた。だが2013年度末までに売れた森林は1371カ所にとどまり、出資金を下回らない価格で売れた森林は72カ所にとどまっているという。

訴訟の最大の争点は、国が出資を募る際に元本割れのリスクを説明したかどうかだった。

阪本裁判長は、国が出資者の募集に利用したパンフレットの記載内容に着目。93年前期以前は「森林の成長を強調する余り、元本割れの可能性がないとの誤解を生じさせる記載だった」と指摘。同期以前の契約者に対して国の説明義務違反を認めた。

国はこの後、元本割れの恐れを記載した新しいパンフレットを作成した。だが判決では同期以前の契約者の追加契約分については「契約内容は変わっておらず、元本割れの恐れを記載した新しいパンフレットを読まないこともあり得た」として、賠償の対象と認めた。

そのうえで、古いパンフレットに非常に長期間の契約期間で収入を予想することが困難である旨の記載があるため、損害の7割を賠償額と認定。追加契約分も新しいパンフレットを読めば元本割れの恐れを認識できたとして損害の5割を賠償額とした。

93年後期以降の新規契約については、国の説明義務違反はなかったと判断。提訴までに、契約から20年以上経過していたり、最初の払い戻しから3年以上経過していたりしたケースについては、民法上の除斥期間や時効の対象として、いずれも原告側の請求を退けた。

原告側は「国産木材の価格は輸入自由化の影響などで80年をピークに下落傾向だった」と指摘。「国は元本割れのリスクについて説明義務を尽くしていない」と訴えた。

一方の国は「価格下落が長期に及ぶと予想できなかった」としたうえで「元本を保証する仕組みがないことはパンフレットを読めば分かる」などと反論していた。

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