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大桜のように苦難にも勝つ 地震1年、熊本の名木満開

熊本地震で大きな被害を受けた熊本県南阿蘇村で、樹齢400年を超えるヤマザクラの名木「一心行(いっしんぎょう)の大桜」が13日、満開となった。激震からまもなく1年。大きく枝を広げて咲き誇る大桜の姿が被災者たちを勇気づけている。

大桜は樹高14メートル、枝張り東西約21メートル・南北約26メートル、幹回り7.35メートルの扇形に広がる大木だ。今年の開花は昨年より8日遅く、ここ10年で最も遅い今月8日にかれんな白い花が咲き始めた。

南阿蘇村によると、戦火に散った戦国武将の矢崎城城主、中村伯耆守惟冬(なかむらほうきのかみこれふゆ)を弔うため、妻子らが一心に行を修めたのが名前の由来。同村の春の観光のシンボルでもある。

村は熊本地震で大きな被害を受け、今も仮設住宅で暮らす人がいる。大桜も激しい揺れに見舞われたが、目立った被害はなかった。過去にも雷が直撃したり台風で幹が折れたりすることがあったが、根を張り続けてきたという。

大桜のある公園では「南阿蘇桜さくら植木まつり」が開かれている。おこわを販売する因(いん)正和さん(51)は「周りの風景は変わってしまったが、一心行の大桜は変わらず咲いてくれた」と感慨深げだ。

因さんは南阿蘇村で約20年間、おこわ店「えびす堂」を営んできた。店舗は昨年4月14日の前震には耐えたものの、16日の本震で被害を受けた。天井が崩れ落ち床に亀裂が入るなど変わり果てた店内の様子に「どこから手をつけていいのか」と途方に暮れたという。

7月からイベントに出店するかたちで何とか営業を再開。客から「お店はどこですか」と聞かれ、「安心して買ってもらうためにも、もう一度店を持ちたい」との思いが強くなった。

同村内の仮設商店街への出店を決め、桜まつり後に開店準備に入る。再出発は「不安の方が大きい」と明かすが、「桜まつりは10年前、初めて店舗以外でおこわを売った思い出のイベント。一歩一歩前に進んでいかんとですね」。因さんは気を引き締めるように、枝いっぱいに咲き誇る白い花を見つめていた。

全国各地から毎年数万人が訪れる桜まつりは中止も検討されたが、被災者を元気づけようと開催が決定した。今月16日まで。運営委員長の村上忠禧さん(58)は「苦難を乗り越えてきた桜を見れば、『自分たちも頑張らんといかん』と前を向いて新たな1年を踏み出せるはずだ」と話す。

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