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もっと関西 大政奉還150年 威光再び 二条城 東大手門(時の回廊)

京都市中京区

2階建ての櫓(やぐら)門に近づくと、柱の上下端などに取り付けられた錺(かざり)金物が目を引く。銅板の上に金箔や墨で彩られた四弁唐花(しべんからはな)模様と、黒塗りの柱とのコントラストが印象的だ。

上洛時の宿泊所

大政奉還から150年に合わせて江戸期の輝きを取り戻した東大手門

時間があれば、錺金物の1カ所にだけ描かれた「千鳥」を探してみるといい。緑青に覆われた状態だと見つけるのは難しかったが、今なら、その姿をはっきりと確認することができる。

世界文化遺産・二条城(京都市中京区)の正門にあたる東大手門。大政奉還から150年の今年3月下旬、大規模な修復工事が完成した。2014年から4億7000万円をかけて、錺金物のほか、屋根瓦を取り換え、壁の漆喰(しっくい)を塗り直した。

二条城は1603年、徳川家康が征夷大将軍に任じられたのに合わせ、天皇の住む京都御所の守護と将軍上洛(じょうらく)の際の宿泊所として築城された。1867年には15代慶喜が二の丸御殿で大政奉還の意思を表明。徳川幕府の誕生から終わりまでを見守ってきた。

徳川慶喜が大政奉還を表明した二の丸御殿の大広間

東大手門は歴史の中で何度か姿を変えている。当初は現在のような櫓門だったが1626年、3代家光の頃に後水尾天皇の行幸があり、「2階に人がいるようなことがあってはならない」との配慮から1階建ての「薬医門(やくいもん)」に建て替えられたとみられる。

実際、築城当初の祇園祭を描いた洛中洛外図屏風では門は現在と同じ2階建てだが、行幸の際のものに描かれたのは1階建てだ。その後、1662年の地震で被害を受け、復興の際に櫓門に戻したとされる。

こうした経緯を確かめるのも今回の修復の目的の一つだった。京都市元離宮二条城事務所の後藤玉樹担当課長は「現在は使われていない痕跡が確認できた。薬医門の上に櫓を増設して現在の2階建てにしたことがほぼ裏付けられた」と話す。

全面修理を計画

築城時の二条城に本丸はなく、現在の二の丸御殿が中心的な施設だった。戦に備える城塞というよりは、朝廷との儀式、儀礼の場としての色彩が強かったとみられる。そんな施設の正門が時代の流れとともに姿を変えてきたことは、江戸時代の幕府と朝廷の関係を考える上でも興味深い。

二条城を管理する京都市は、2011年度から20年計画で築城以来の全面的な修理を進めている。総工費は約100億円。市は財源確保に向けて、国際会議のレセプションなどへの積極活用や「一口城主募金」の募集に加え、入城者数の増加策に力を入れている。大政奉還150年の節目の今年は、展示・収蔵館で二の丸御殿の大広間、黒書院の障壁画の展示が企画されているほか、10月には関連イベントも計画中だ。

約400年の時を経て、今なお人を引きつける遺構をどう保存、活用していくか。輝きを取り戻したその後にも注目が集まる。

文 京都支局長 松田拓也

写真  大岡敦

 《交通・ガイド》京都市営地下鉄の二条城前駅から徒歩約5分。市バス「二条城前」下車すぐ。開城は午前8時45分~午後4時(5時閉城)。入城料は一般600円。
 《特別公開》東大手門修復の完成を記念し、7月31日まで東大手門2階の内部などを特別公開している。6月17日、7月1日、16日、29日の各日午後2時からは担当者による解説も。料金は400円(入城料別)。

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