2018年11月13日(火)

米大統領、中国の知財侵害調査を指示 北朝鮮問題巡り圧力

2017/8/15 10:48
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は14日、中国による米企業の知的財産権の侵害が深刻だとして、制裁措置を含む通商法301条の適用を視野に調査開始を指示した。米企業が中国進出時に技術移転などを求められる事例を調べ、中国の貿易制度が正当かどうか判断する。北朝鮮の核・ミサイル問題を巡り、同国に影響力を持つ中国に通商面で強い圧力をかける狙いもある。

トランプ氏は14日、休暇先のニュージャージー州からホワイトハウスに戻り、米通商代表部(USTR)に調査開始を指示する書面に署名した。トランプ氏は署名式で「外国による知的財産の侵害は、年間で数百万人の雇用喪失と数十億ドルの損失をもたらしている」と批判。「大統領として米国の労働者や技術、産業を守る義務と責任がある」と強調した。

通商法301条は、米当局に関税引き上げなどの制裁権限を与えている。今回の調査は中国による米企業の知的財産権の侵害が対象。米企業は中国で合弁企業を設立する際に技術移転を求められるケースがあり、不当な強要などがないか調査する。米当局が「クロ」と判断すれば中国との協議に入り、解決できなければ制裁措置を科せる。米政府高官によると、調査終了には1年程度かかる可能性があるという。

米国ではIT(情報技術)産業を中心に、中国の知財侵害への不満が根強く、日欧なども中国の技術移転の要求には懸念を抱いてきた。米歴代政権はサイバー攻撃などによる産業スパイ活動に中国政府が関与しているとの疑念も抱いており、米政府高官は「(中国の知財侵害は)米国の安全保障を脅かしている」とも指摘していた。

トランプ政権はミサイル発射などの挑発行動を繰り返す北朝鮮にいらだちを強めている。国連安全保障理事会が経済制裁を強化したにもかかわらず、北朝鮮は米領グアム沖へのミサイル発射計画を表明。トランプ氏は署名時に北朝鮮問題などに言及しなかったが、同国に影響力を持つ中国に、通商面から圧力をかける狙いは鮮明だ。

もっとも外交・安全保障と通商政策を絡めるトランプ政権の姿勢には危うさもある。通商法301条は強力な権限があるものの、世界貿易機関(WTO)が発足した1995年以降は制裁措置の発動事例がほとんどない。

WTOは一方的な貿易制限措置を禁じるが、通商法301条は米国が相手国の貿易制度を国内法だけで「シロ」か「クロ」と判定して、一方的に制裁を科す仕組み。制裁措置を発動すればWTOルールに抵触する可能性が極めて高く、中国を含む貿易相手国の反発は必至だ。

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