米アメリカン航空、中国南方航空に222億円出資 - 日本経済新聞
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米アメリカン航空、中国南方航空に222億円出資

【ニューヨーク=稲井創一】米航空最大手アメリカン航空は28日、中国航空最大手の中国南方航空に2億ドル(約222億円)出資すると発表した。両社はコードシェア便などを互いに提供し、それぞれの顧客に対して路線網の充実を図る。両社は互いに異なる航空連合に属しているが、成長が期待できる米国と中国を往来する旅客需要を取り込むためグループの垣根を越え連携する。

「世界で最も大きい航空会社2社が連携することで、決定的に重要な米中市場で広範な路線を提供できる」。アメリカン航空のロバート・イソム社長は28日の発表文でこうコメントした。国際航空運送協会(IATA)によると2015年の旅客数ランキングでアメリカン航空は世界首位、中国南方は4位で、米中のトップ同士が手を結ぶ。

今回の出資を契機にアメリカンと中国南方は、互いの便を実質自社便としてそれぞれの顧客に提供するコードシェア便を始める。アメリカンは中国南方の路線をコードシェア便として活用し、北京から中国国内へ約40地点、上海から約30地点もの目的地を増やす。一方、中国南方はアメリカンの路線を活用して、北米や南米で約80地点の目的地を追加する予定だ。

中国と米国を往来する需要の取り込みを巡っては、15年にデルタ航空が同じ航空連合スカイチームに所属する中国東方航空に4億5000万ドルを出資し、コードシェア便の運航などを始めた。ユナイテッド航空は米系で最多の米本土と中国を結ぶ直行便を運航しているほか、同じスターアライアンスの中国国際航空とも連携している。

ワンワールドのアメリカン航空は同じグループの香港キャセイパシフィック航空と長年提携していたが、中国国内の路線数は限定的だった。

一方、デルタ航空が提携先に中国東方を選んだことでスカイチームの中で中国南方は宙に浮いた存在になっていた。米中の伸びる旅客を取り込むには、グループの垣根を越えても提携しなければ競合に対して出遅れかねないと、今回、アメリカンと中国南方の思惑が一致したようだ。今後、中国南方がワンワールドに移籍する可能性もありそうだ。

米航空大手3社が中国航空会社と相次ぎ提携する背景には、中国国内で路線網を拡充するだけでなく、中国を拠点とし、提携先の便を活用して東南アジア方面への路線網を中長期的に充実させたい考えもある。アジアのハブ空港を目指して中国の主要国内空港では整備も進んでいる。これまで米系航空会社にとって東南アジアへの主な乗り継ぎ拠点だった成田空港は存在感を問われることになりそうだ。

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