2019年1月17日(木)

AT&T、タイムワーナー買収発表 今年最大
総額8.8兆円

2016/10/23 11:09
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【ニューヨーク=中西豊紀】米通信大手のAT&Tは22日、米メディア大手のタイムワーナーを買収すると発表した。買収総額は約854億ドル(約8兆8600億円)。携帯電話事業が伸び悩むなか、映画やニュースまで幅広いコンテンツを抱えるタイムワーナーを取り込み、複合メディア企業への転換を目指す。インターネットの普及を背景に通信・放送の垣根を越えた企業統合が本格化しはじめた。

タイムワーナー株を1株当たり107.5ドル(21日終値は89.48ドル)で取得する。半分を現金で、半分をAT&T株で支払い、2017年末までの買収を目指す。買収総額は今年のM&A(合併・買収)では最大。

AT&Tのランドール・スティーブンソン最高経営責任者(CEO)は同日、「世界的に優れたコンテンツを映画、テレビ、モバイル端末すべてで提供できるようになる」と買収の意義を述べた。タイムワーナーのジェフ・ビューケスCEOも「一緒になることで動画需要の増加に対応できる」との声明を発表した。

タイムワーナーはメディア業界では米4位(15年度)。「バットマン」「ハリー・ポッター」シリーズで知られる映画部門ワーナー・ブラザーズやニュース専門局CNN、「ゲーム・オブ・スローンズ」など人気ドラマを多数抱えるケーブルテレビ局HBOなど多様なコンテンツ事業を傘下に持つ。

AT&Tは米2位の携帯電話事業者。買収により、1億3000万人強いるスマートフォン(スマホ)を中心とした同社のモバイル端末サービス契約者にタイムワーナーのコンテンツを動画配信できるようになる。

通信事業会社がコンテンツを手掛けるテレビ局を傘下に収めるのは初めて。動画を強みに値下げに頼らない契約者の獲得を進めるほか、スマホ配信を通じた広告収入の拡大を目指す。

AT&Tは2015年に米プロフットボールリーグ(NFL)など人気番組の放映権を持つ衛星テレビ大手のディレクTVを485億ドルで買収している。今回のタイム・ワーナー買収により、通信会社の枠組みを超えた複合メディア企業への転換を図る。

タイムワーナーにも利点がある。高速インターネットの普及で米国ではケーブルテレビではなく、米ネットフリックスなどが手掛ける定額課金の動画配信サービスを通じて番組を見る人が増えている。対応策として米動画配信サービス「Hulu(フールー)」の株式を10%保有しているが、通信会社と組むことでスマホユーザー顧客の取り込みをさらに進めやすくなる。

22日夜に出た2社の発表リリースには「動画にとっての未来はモバイル端末であり、モバイル端末にとっての未来は動画だ」との文言が盛り込まれた。コンテンツの製作から広告と視聴契約収入を通じた制作費の回収まで、モバイル時代に見合ったビジネスづくりを目指す姿勢を強調した。

タイムワーナーは00年に「世紀の合併」とも呼ばれたインターネット大手AOLとの統合に踏み切ったが、09年に再分離した経緯がある。合併直後に起きたインターネットバブルの崩壊や企業風土の違いが原因と言われている。

00年代と比べてインターネットは高速化し普及も進んだ。通信事業者は次の成長の種を探し、放送事業者は動画配信という新興勢力の台頭に危機感を募らせている。今後の独禁当局の判断も踏まえてAT&Tによる買収が成功すれば、メディアの再編史は「次の世紀」へとひとつ歩みを進めることになる。

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