2019年2月18日(月)

米、TPP離脱表明 NAFTAも再交渉

2017/1/21 7:46
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【ワシントン=河浪武史】米国の第45代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が20日就任した。大統領就任式では「米国製品を買い、米労働者を雇って、米国を再び偉大な国にする」と演説し、式典直後には公約通り環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する方針を発表した。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も表明し、政権発足と同時に通商政策の抜本転換を打ち出した。

米ホワイトハウスのホームページに記載された環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱方針を含む通商政策

米ホワイトハウスのホームページに記載された環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱方針を含む通商政策

トランプ新政権は20日正午の就任演説の直後に、ホワイトハウスのホームページ上でエネルギーや通商など6項目の政策方針を発表した。通商政策では日米など12カ国で大筋合意したTPPから離脱すると表明。NAFTAも再交渉すると主張し「米労働者の利益にならなければ離脱を通知する」と踏み込んだ。

TPPはシンガポールなど4カ国の自由貿易協定が基盤となり、2010年に米国も交渉に加わって15年秋に大筋合意した。ただ製造業の労働者には、新興国との競争激化で雇用が脅かされているとの不満があった。トランプ氏はTPPからの撤退を前面に押し出して大統領選に勝利し、着任早々に公約を実行に移した。

TPPは規定上、米国が批准しなければ発効できない。TPPを成長戦略の柱に位置づけていた日本の安倍政権も、通商戦略の見直しを迫られる。TPPは参加国の合計国内総生産(GDP)が世界の4割を占める巨大な貿易圏構想だ。知的財産権やネット取引のルールづくりにも踏み込むなど、サービスや金融の国際化にも対応した21世紀型の通商協定だった。

トランプ新政権はメキシコ、カナダと結んだNAFTAを再交渉するとも表明した。次期商務長官に指名された投資家のウィルバー・ロス氏は18日の承認公聴会で早期に再交渉入りを通知するとの意向を示しており、週明け早々にもメキシコ、カナダとの対話が始まる可能性がある。

トランプ氏は大統領就任前に「メキシコへ工場を移転する企業には『国境税』を課す」と主張しており、協定の見直し次第では、北米の日系自動車メーカーなどにも影響しそうだ。ただ、特定国だけに高率関税を課せば世界貿易機関(WTO)協定違反となるだけに、域内の部品調達率を定める「原産地規則」の見直しなどが軸になる可能性もある。

トランプ政権が発足早々に通商戦略の抜本転換に踏み切ったのは、大統領選で公約に掲げた貿易赤字の縮小と米労働者の保護が狙いだ。戦後の自由貿易体制をけん引した米国が保護主義に転じれば、世界経済の成長機運に水を差すことになる。

ただ、米国はTPP関連法案を議会審議にかけて否決したわけではなく、トランプ新大統領が離脱を宣言しても、手続き上はTPPが消滅するわけではない。12カ国で大筋合意した内容のまま漂流が続く可能性が高い。

トランプ新政権が公表した政策方針は(1)米国第一のエネルギー計画(2)米国第一の外交政策(3)雇用と成長の回復(4)強い軍を取り戻す(5)コミュニティーの安全確保(6)米国人のための通商協定――の6項目。減税で民間活力を高めて2500万人の雇用を創出し、年4%の成長率を取り戻すとした。

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