【ニューヨーク=中西豊紀】「自動運転」モードの車が死亡事故を起こしたとしてテスラモーターズを調査していた米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は19日、「欠陥は見つからなかった」とする報告書をまとめた。調査は終了しリコール(回収・無償修理)も求めない。
調査はテスラ車が昨年5月に起こしたトラックとの衝突事故が発端。「オートパイロット」と称した機能を持つテスラ車は、高速道路での車線変更や追随走行が自動でできる。また衝突の危険があれば自動でブレーキが利くようになっている。NHTSAはこうした技術に瑕疵(かし)が無いか分析を進めていた。
「シロ」が明確になったことで、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「非常に前向きな内容だ」と自身のツイッターに投稿した。報告書には「オートパイロット機能が入っていることで、非搭載車と比べ衝突事故が起きる割合が約40%減る」とのデータが記載されているが、マスク氏はこれもツイッター上で紹介した。
米国ではテスラの事故以降、自動運転車の安全を巡る議論が高まった。NHTSAが昨年9月に安全指針をまとめるなど、規制当局の動きを早めるきっかけにもなった。NHTSAはこの日、調査の範囲においてテスラ車には問題が無かったとしながらも「衝突回避機能には限界もある」として、運転手の自動化への過度な依存に警鐘を鳴らしている。