2019年1月23日(水)

アップル、AI活用とメッセンジャー強化の開発方針を発表

2016/6/14 6:58
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【シリコンバレー=兼松雄一郎】米アップルは13日、米サンフランシスコ市で開発者向けイベント「WWDC」を開き、人工知能(AI)の活用や、短いメッセージをやりとりする「メッセンジャー」サービスの強化を軸とする開発方針を発表した。

米カリフォルニア州にあるアップルの本社(C)Arild Finne Nybo/Flickr

先行する米グーグルや米フェイスブックへの対抗策を打ち出した。入力、認証、決済などでスマートフォン(スマホ)、パソコンなど自社端末間の連動性を高めることでより使いやすくする工夫が目立った。

まず、AIを使った音声認識・自動応答サービス「Siri(シリ)」を他社のサービス上や自社のパソコン「Mac」でも使えるようにして利用範囲を広げる。決済や配車も音声指示で簡単にできるようになるほか、音声でパソコン内のファイルを探したり、音楽や写真を検索したりするといった操作も簡単にできるようになる。

さらにAIを使い保存した写真データを顔、物体、風景などを認証し、自動で分類できるようにする。設定したテーマにあわせ、登場人物などを軸に音楽付きのアルバムを自動生成する機能もつける。AIによる画像認識の写真データへの応用はグーグルが実用化で大きく先行しているが、アップルは編集のしやすさで対抗する。

メッセージ分野では他のソフト会社が開発に参加できるようにする。アップルのメッセージサービス上に新たなアプリやイラストなどのコンテンツ市場をつくる狙い。フェイスブックやラインの市場の切り崩しを狙っている。

メッセージでは、フェイスブックがソフト会社を取り込みコンテンツの開発に成功している。日本でもラインがイラストを販売する市場を育てるなど地域別に多様な市場が急拡大している。

メッセージで送ることができる情報や表現の幅も広げる。文字から絵文字への予測変換も導入し、入力時間を短縮できるようにする。全画面の動画、こすると見えるようになる文字、揺れる文字など、様々な視覚効果も送信可能にする。動画に上書きした手書き文字なども簡単に送れるようにする。メッセージサービス上で食事の注文もできるようになる。

今秋に基本ソフト(OS)を更新した場合、スマホ「iPhone」などアップルの携帯端末では「機械学習」を使った入力支援が強化される。打ち間違いをより正確に修正するのに加え、文脈を踏まえた入力候補も表示する。端末内の過去のやりとり、位置情報、連絡先、カレンダーなどと連動し、賢く候補を予測するという。多言語にも対応する。

さらに留守番電話などに保存した音声を文字に変換したり、電話が来たときに怪しい番号の場合に知らせたりできるようにする。

パソコン「Mac」では、今秋のOS更新によりアップルウオッチをつけていると自動的にパスワードが解除される機能や、パソコンとiPhoneの間で自在に切り取った文章を貼り付けられる機能などが使えるようになる。

腕時計型端末「アップルウオッチ」では、データの取得時間が約7分の1に短縮されるという。画面上に文字を書き込めば簡単に入力できるようにする。漢字入力にも対応する。

ウオッチの健康管理機能としては緊急時に2つの操作だけで自動的に助けが呼べ、居場所を知らせられる機能も開発した。日々の運動状況を友人と共有して競争できる機能もつける。車椅子の利用者向けの運動モードも追加した。深呼吸をして気分を変える習慣をつける機能も加える。

今秋のOS更新に伴いテレビ向けソフト受信端末「アップルTV」でも、アプリごとに認証情報を登録し直す手続きの手間を省けるようにする。iPhoneでアプリを一度ダウンロードして登録すれば自動的にアップルTVでも使えるようになる。

教育分野ではプログラミング言語「スウィフト」を使って初心者が簡単にプログラミングを学習できるiPad用の新しいアプリを開発し、無料で提供する。コード候補の自動表示、コードの切り貼りがしやすい仕組みなどで学習を支援する。

音楽サービスではデザインを変更し、歌詞の情報の提供も始める。定額配信の有料会員は1500万人を超えたという。

地図サービスでは予定表を踏まえた行き先の予測表示機能をつける。地図アプリからそのままレストランの予約を済ませたり、配車サービスを使えるようにしたりするなど、アプリ会社との連携を拡大する。道案内の機能には渋滞情報を加えた。アップルは地図サービスではグーグルに大きく引き離されているが、他の人気アプリとの連動性を高め、挽回を図る。

ニュースサービスでは、提携メディアの定期購読契約と連動させ、有料のニュースも一体的に読めるようにした。速報機能をつけるほか、デザインを変更して注目度が高いニュース以外の分類も見やすく表示する。現在、同サービスには2千以上のメディアが参加し、利用者は6千万人以上いるという。

決済サービス「アップルペイ」はパソコンのブラウザ上からでも使えるようになる。iPhoneの指紋認証やアップルウオッチを通じた認証とも連動させ、安全に支払いができるようにする。展開地域は現状の米英、中国など6カ国に加え、スイス、フランス、香港にも広げる。日本は含まれていない。

アップルはこの日、会場に掲げた社旗を半旗とし、フロリダ州の銃乱射事件の被害者への弔意を表した。ティム・クック最高経営責任者(CEO)はイベントを黙とうから静かに始めた。ただ、最後には「アップルは生活をよりよいものにする。技術は人類を向上させると信じている」という楽観的な言葉で締めくくった。

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