独VWが4960億円支払い 米司法省、幹部ら6人起訴

2017/1/12 5:07
共有
保存
印刷
その他

 【インディアナポリス=中西豊紀】独フォルクスワーゲン(VW)は11日、排ガス不正を巡り米政府に刑事上の罰金など総額43億ドル(約4960億円)を支払うことで合意したと発表した。自動車メーカーが米政府に支払う金額としては過去最大。あわせて司法省はVWの幹部ら6人を起訴したと発表した。不正の震源地だった米国でのVW問題は経営責任の追及まで発展した。

 過去のトヨタ自動車やゼネラル・モーターズ(GM)による欠陥車対応と今回のVWが異なるのは、司法当局に対して法令違反を認めた点だ。

 司法省の発表によると、VWの経営陣や従業員の一部は違法と知っておりながら、排ガス値を少なく見せるソフトウエアをディーゼルエンジン車に搭載し、米環境当局の排ガス検査を欺いていたという。不正は2006年から15年まで続き、その間の当局の調べに対しても関係書類を破棄して事実を隠蔽していた。

 これに伴い、VWは28億ドルの刑事上の罰金を払う。また3年間にわたり独立した監査組織による法令順守ができているかのチェックを受ける。

 併せて米環境当局と顧客を欺いたことにからみ14億5000万ドルの民事上の制裁金を払う。並行して不正車をローンやリースで販売したことによる金融関連法違反で5000万ドルの民事制裁金を課せられた。

 VWのマティアス・ミュラー社長は同日、「排ガス危機を生じさせた振る舞いを深く後悔している。今回の米政府との合意はVWの価値を損ねる過ちを認めるという決意のあらわれだ」とするコメントを発表した。

 米国ではすでに民事上の集団訴訟で和解が済んでおり、車の保有者と環境当局に総額で約157億ドルの制裁金を支払うことで合意している。VWは不正関連費用としてこれまで総額182億ユーロを引き当て済み。15年9月に米国で発覚した不正は、刑事、民事を含めた米国での司法コストとなり同社の経営を大きく圧迫する形となった。

 刑事上の対応では一つの区切りをつけたものの、誰が不正を指示しどういった経緯で排ガス値の操作がなされたかといった問題の核心はなおやぶの中だ。

 司法省は同日の発表でVWのドイツ人幹部や従業員ら計6人を起訴したと発表した。今回の不正に10年近く関わっていた疑いがあり詳細を調べるという。司法省のロレッタ・リンチ長官は記者会見し「引き続き個人の責任を追及する」と刑事捜査の継続を表明した。

 起訴の対象者6人には15年9月の不正発覚直後に辞任した前VW乗用車部門の開発部門トップで取締役だったハインツ・ヤーコブ・ノイサー氏も含まれる。6人のうち1人はフロリダ州で逮捕されている。司法省は司法取引なども駆使しながら情報を引き出し、VW前社長のマルティン・ヴィンターコーン氏を含め責任の所在を明らかにしていく見通しだ。

 8日に米ミシガン州デトロイトで開かれた北米国際自動車ショーのVWの記者向けイベントではミュラー社長が出席を見合わせた。代理で登壇したヘルベルト・ディース取締役は「米国のお客の信頼を取り戻すことが第一」と述べた。

 20日のトランプ次期大統領の就任に伴い、司法省も体制が変わる。同省は現政権のうちにVW問題の捜査に一定のめどをつけようとしたとみられる。同省はエアバッグメーカーのタカタについても捜査中。近く和解の合意がなされるもようだ。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報